The Empty Hearse 6

ビデオカメラの視点、Sherlockは窓の前に置かれたソファに腰掛け、カメラを見つめている。

SH: Moriartyが指揮した犯罪組織は広大だった。

そこでSherlockがディオゲネスクラブ内のオフィスで座るMycroftのそばに立っている場面が挿し込まれる。Mycroftは書類を眺めていて、Sherlockは電話を見ている。

SH(声): 癌細胞のように至る所に根差していた。だから僕らはある計画を立てた。

Mycroftはラップトップで何か入力し始める。Sherlockは屈み込んでその画面を見る。

SH(声): Mycroftは僕に関する情報をMoriartyに与えた。

-MycroftがJimの独房へ入っていく、Jimは幸せそうに目を閉じる。

SH(声、部分的にカメラへ向かって): Moriartyは代わりにヒントを与えた-ヒントだけ-彼の蜘蛛の巣の範疇として。僕らは奴を解放した…

-Jimが裁判のため法廷へ連れられていく。

SH(声): …奴が一枚上だと思い込ませるのが重要だったからだ。(カメラへ)そして僕はMoriartyが僕の評判を少しずつ壊していくのを見守っていた。

-SherlockはBart's病院の研究室で床に座り、前にある棚に繰り返しボールをぶつけて、それをキャッチしている。

SH(声): 僕を負かせたと奴に信じ込ませなければならなかった、徹底的に打ち負かしたと、するとあいつは手の内を見せてしまった。

-SherlockとJimが屋上にいる。散在するSherlockが研究室でボールをバウンドさせている姿。そして逃げ道を探しているかのように屋上で病院の周囲を見渡しているSherlockの姿。

SH(声): 一旦屋上に上がったら13の見込みのあるシナリオが存在した。それぞれは厳密に組み立てられ、コードネームがあった。それはただ僕の評判を落としたかっただけじゃない-僕は死ななければならなかった。

-Sherlockが屋上から飛び降り、Johnが必死に彼の名を叫ぶ。

-屋上。

JM: 君は僕を捕まえることができる…

-Hudson夫人がお茶を渡し、作業員の男は感謝しながらそれを受け取る、道具のひとつを道具入れにしまうとそこには銃とサイレンサーがしまわれていた。

JM: …拷問することもできるし、僕に対してやりたいことができる…

-平服の警官がオフィスにいるGregへ不気味な視線を向けている。

JM: …でも引き金が引かれるのを阻止することはできないんだ。

-Bart's病院外の舗道を見下ろす建物の中でスナイパーがライフルを組み立てている、その間Johnはタクシーに乗って病院へ向かっていた。

JM: 世界で三人だけの友達が死ぬ…やらない限り…

SH: …僕が死なない限り-君の筋書きは完成しない。

Jimは頷いて有頂天になって微笑んだ。

JM: 刺激的にしてもらわないとね。

SherlockはJimと握手をしている。

SH(声): だがひとつ、僕が予期していなかったことはMoriartyがどのくらい先まで行こうとしているかだった。それは明らかだったと思う、最初にプールで会ったときに示されていた-死への願望。

-Moriartyがピストルを口にくわえて引き鉄を引いた。Sherlockは恐ろしさに叫び、ショックを受けて後退りする、そして屋上の縁へ行く。

SH(声): 長い猶予がないことはわかっていた。兄に連絡をし、車輪を動き出させた。

屋上でSherlockは電話に「LAZARUS(※)」という言葉を入力して送信する。

SH(声): そして全員が仕事に取り掛かった。

地上では男たちがしぼんでいる状態の巨大なエアバッグを舗道へ運び出した。Mollyは窓から外を眺める。Sherlockは屋上の縁に上る。その下で男たちはエアバッグを広げていく。Mollyはわずかに目を閉じ、そして上を見上げた。地上では病院の近くにいるひとりの女が合図を待って屋上を見上げる。Johnの乗ったタクシーは病院へと向かっている。エアバッグの準備を急ぐ男たち、他にも出番を待っている集団がいる。その内のひとりが聴診器を首に掛けた。先程の女が辺りを見回すと、傍に自転車に乗ってペダルに片足を掛けながら出番を待っている男がいた。その少し先で第二の自転車乗りが決められた場所へ自転車を押していく。最初の自転車乗りは耳にイヤピースをしていた、恐らく他のスタッフたちも同様にしていると思われる。イヤピースからは微かに男の声が聞こえる、何か指示が送られているようだ。Johnの乗ったタクシーは救急車が待機する場所の近くへ乗り入れていった。その角に男たちの集団がやって来る。タクシーが停まった。Sherlockはポケットから電話を取り出し、先程のメッセージに対する返信を確認する。

LAZARUS IS GO (LAZARUS準備完了)

Johnはタクシーを降りて病院へ向かい、Sherlockから掛かってきた電話に応答する。救急車待機場所があり彼からは見えないが、バス停にはゴミ袋を大量に積んだトラックが停車していて、数人のスタッフが救急車待機場所の壁に隠れて待機している。そして空気を入れられたエアバッグも待機場所の傍に用意されていた。

SH: (電話で)トリックだよ。まやかしのトリックなんだよ。

JW: (電話へ)いいんだ、やめてくれ。

SH: だめだ、ちゃんとそこにいろ。動くな。

待機場所から、送風機で空気を入れ続けながらスタッフたちがエアバッグを運び出し始めた。JohnはSherlockへすべての意識を集中させている。

JW: (電話へ)わかった。

スタッフはトラックで見えないようになっている位置へエアバッグを設置する。

SH: 僕から目を離さないでくれ。(すがるように)なあ、頼みをきいてくれるか?

女が電話を掛け、第二の自転車乗りが車体に跨った。Sherlockは電話を下ろし、屋上へ投げ捨てる。

SH(声): Johnを僕の意図した場所にいさせることが極めて重要だった。そうすることで彼の視界は救急車待機場所によって妨げられていたんだ。

Johnは電話を下ろし、顔を上げて叫ぶ。

JW: Sherlock!

Sherlockは腕を広げ、屋上から飛び降りると地面へ向かって落ちていった。病院の中では窓越しに彼が落ちていく姿を見たMollyが息を呑んでいる。Johnの視点からでは救急車待機場所があり、地上から約6メートルほどの高さが遮られているために落下地点を見ることが出来ない。彼に見られることなくSherlockは身体を捻りながらエアバッグへ向かって落ちていった。

SH(声): エアバッグの上に落ちる必要があった-それを成し遂げた。

空中で仰向けに身体を捻ったSherlockはエアバッグの中心へ完璧な着地をした。直ちにスタッフが行動を開始し、決められた配置場所へ駆け出していく。

SH(声): スピードが肝心だった。

エアバッグから這って出ていこうとしているSherlock、スタッフたちはバッグを出来るだけ押さえることで彼が早く動けるよう手助けしている。

SH(声): エアバッグをそこから取り払う必要があった、Johnの視界から待機場所がなくなるまでに。

Sherlockが地上に降り立つとスタッフはエアバッグを待機場所の左側へ向かって運び出す。Johnは待機場所の右側へ駆け寄っていこうとしていた。更なる人員が配置場所へ走り出す。

SH(声): だが、遺体を見せる必要があった。

病院内ではあのコートとマフラーを着させられた遺体がストレッチャーの上に横たえられていた。Mollyと二人のスタッフが遺体を持ち上げて窓から外へ押し出す。遺体はSherlockが落ちたのと同じ場所へ落とされた。

SH(声): Mollyに協力してもらったのはそこだ。

エアバッグを運んでいくスタッフと共にSherlockも待機場所の左側へ駆けていく。待機場所の別の場所にはJohnの背後へ向かって自転車乗りがペダルを漕いでいた。

SH(声): 天気図のように僕らは一方へ去っていき、Johnは別の方向から行った。

Johnは待機場所の角へ向かって走ったが、舗道に横たわっている遺体を目にすると速度を落として道の真ん中に立ち止まった。エキストラたちは既に遺体の周りに集まっていて、トラックは走り去る。

SH(声): そして時宜を得た自転車乗りが…

自転車乗りがJohnにぶつかり、彼を地面に倒した。

SH(声): …Johnをわずかの間動けなくさせた…

待機場所ではSherlockの頭にスタッフが血を塗っている。二人の男たちが病院から飛び出して遺体へ駆け寄った。

SH(声): …舗道の死体と僕が入れ替わる時間を稼ぐために。

病院から出てきた二人のスタッフが遺体を持ち上げて引きずっていく。Johnが地面に倒れながら意識を取り戻そうともがいている間、Sherlockは落下地点へ駆け寄って地面に横たわり、エキストラがその周りを囲んだ。遺体は病院の中へ運ばれていき、ゲートが閉じられた。

SH(声): 残りは「飾り付け」だ。

女が屈み込んで舗道とSherlockの頭の周りへ袋に入った血をこぼしていく。聴診器を掛けた男もSherlockの顔へ血を塗りつける。痛みに顔を歪めながらJohnは地面を転げ、舗道へ視線を向けた。

SH(声): そして最後の仕上げは…

スタッフが血の塗りつけを終えるとSherlockはコートのポケットから先程遊んでいたゴムのボールを取り出した。

SH(声): …スカッシュ(※)のボールを脇の下に。

シャツの中に手を入れて右腕の下にボールを押し込む。

SH(声): 十分に圧力を加えれば一時的に脈を止めることが出来る。

ゆっくりと足を引きずりながらJohnが道を渡る間、スタッフがSherlockの右手首を取って脈が止まっているかを確認する。Johnはようやく見物人たちがいる場所へ辿り着いた。

JW: 通してください、お願いです。

そばにいる見物人たちが彼を押し戻そうとする。

女: わかった…

JW: いや、その人は友達なんだ。

女: わかった、わかったから。

JW: いや、僕の友達なんだ。

女はJohnがSherlockへ近寄って手首を取ろうとする間も彼を支えようとしている。

JW: 僕の友達なんだ。お願いだ。頼むよ、僕に…

見物人たちは彼を遺体から引き離した。ストレッチャーが運び込まれるとJohnが苦悶しながら見ている前で遺体が上に乗せられた。

 

※LAZARUS

…ラザロ。ヨハネ福音書に出てくる、墓に入れられてから四日後にキリストが死から蘇らせた人物。詳しくはWikipedia「ラザロ」

 

※スカッシュ

…四方を壁で囲まれたコートで柄の長いラケットとゴムボールを使用する球技の一種。

 

 

ビデオカメラの前でSherlockは冷静な態度でレンズを見ていた。Andersonはカメラの反対側にあるソファに座っている。

SH: すべて見越していた、あらゆる不測の事態も見込まれていた。成し遂げた…(わずかに笑みを浮かべ)…完璧に。

Anderson: Molly?Molly Hooper?あの娘も関わってたのか?

SH: そうだ。Moriartyによって誘拐された女の子を憶えてるか?

-Claudette BruhlがSherlockの姿を見ると彼を指差して叫び出し、Lestradeが彼を部屋から追い出した。

GL: 出て行け!

-AndersonとSally DonovanがLestradeの前に立ち、Sherlockが罪を犯していると説得している。

SH: 君たちはあの子がああいう反応を示したのは僕が誘拐犯だったからと仮定した。だが僕は、Moriartyは疑念を植え付けるために僕に非常によく似た人物を見つけ、その男が-そいつが誰にせよ-役目を終えるとそいつを始末してしまったはずだと推理した。すなわち安置室のどこかに僕に似た死体があるということになる。

Andersonは頷く。

Anderson: 賢い。

SH: Mollyが死体を見つけ、記録を偽装し、僕がコートを提供した。たくさんのコートを所有しているんでね。

Anderson: じゃあJohnを狙っていたスナイパーは?

SH: 狙撃される前にMycroftの部下が阻止した。そいつは考え直すよう説得された。

-Mycroftが掛かってきた電話に応答する。

MH: 済んだのか?

相手の話を聞く。

MH: 良し。

通話を切る。

Anderson: ホームレス・ネットワークは?

SH: 説明した通り、そのエリア周辺は封鎖された…(笑みを浮かべ)…ドラマの撮影現場みたいにね。

Andersonは考え込みながら彼を見ている。

SH: 見事だと思わないか?

Andersonは視線を逸らす。

Anderson: うーん。

SH: 何だ?

Andersonは肩をすくめる。

Anderson: 俺だったらそういう方法は採らない。

SH: (腕を組み)おお、そうか?

Anderson: いや、賢くないと言ってるわけじゃないんだ、でも…

SH: (鋭く)何だ?

Andersonは再び肩をすくめ、手を振り回しながら適切な言葉を探した。

Anderson: …ちょっと…がっかりだ。

Sherlockは溜め息をつく。

SH: みんな大した批評家だ。ところで、僕が来たのはそれが目的じゃない。

Anderson: そうなのか?

SH: そうだ。何故来たか知ってると思うけどね、Phillip。「俺がどうやったか-切り裂きジャック」。

Andersonは驚いて彼を見ると口を開いたが、しばらく言葉が出なかった。うなだれてようやく話し出す。

Anderson: 興味がそそられると思わなかったか?(期待を込めてSherlockを見る)

SH: (立ち上がりながら)不気味だったな。センセーショナルな事件、君は僕に興味を持ってもらいたかった。でもやり過ぎたな、Phillip-君と「ファンクラブ」は。

Andersonの周りを歩き始める。

Anderson: 耐えられなかったんだ、自分が君を追い込んで…(言葉に詰まる)

SH: でもそうじゃなかった。君は常に正しかったよ。僕は死んでなかったんだから。

Anderson: (歩き回る彼を見ながら)いや。いや、でも今となってはすべて問題ないよな?

SH: ああ。

Andersonは安堵しながら笑みを浮かべる。

SH: (足を止めてAndersonを見下ろし)もちろん君は警察に無駄な時間を費やさせ、裁判の進行を歪め、議事堂を破壊し何百人もの人々を死に陥れるという甚大なテロ攻撃を阻止しようとしている僕の邪魔をするというリスクを冒したけどな。

Anderson: (涙ぐんで)ああ、そんな。

泣き崩れて跪きながらSherlockを引き寄せる。

Anderson: ああ、僕は、申し訳ない、Sherlock。本当に申し訳ない。

Sherlockに寄りかかり、コートの上ですすり泣く。Sherlockは躊躇いがちに彼の肩を何度か叩いてやった。

Anderson: (不意に泣くのを止めて辺りを見渡し)待てよ。

立ち上がって壁に張った書類へ歩み寄る。

Anderson: おかしいな。

その背後でSherlockは目を回し、静かに苛立たしげな溜め息をこぼした。

Anderson: どうしてJohnが意図した場所にちゃんと立っているって確信出来たんだ?だって、もし動いてしまったら?

Sherlockはそっと部屋を出る。

Anderson: (没頭のあまりSherlockが出ていったのに気付かないまま)おい-どうやってそんなにすばやくすべてを行えたんだ?もし自転車がぶつからなかったら?(疑わしげに)けどとにかく、どうして俺にすべてを打ち明ける?(含み笑いそして)うまいことやってのけたんなら、俺は君が真実を語る「最後の人間」…

そこで振り返り、Sherlockがもう部屋の中にいないことに気付くと言葉を止めた。しばらく部屋を見つめてから含み笑いをする。そして壁の書類とSherlockが立っていた場所を交互に眺めた。

Anderson: (小声で楽しそうに)Sherlock Holmes!

再び含み笑いをし、Sherlockが立っていた場所を指差す。

Anderson: (喜びと苛立ちの入り混じった声でそっと)Sherlock!

含み笑いは徐々に本格的になり、ヒステリックな笑いへと変わるとAndersonは壁に張り出した紙を引き剥がし、引きつった笑いに顔を歪ませながらそれらを引き裂いていった。部屋の角へ倒れ込むと膝で立ち上がり、紙の中で泳ぐように暴れながらヒステリックに笑い続け、再び倒れ込んだ。

 

 

途絶えていた場面が再び現れた。Johnは地下鉄の車両の中にいて目を閉じて顔を上げたまま立っていた。手すりを掴み、長い溜め息をこぼしながらうなだれる。近くからSherlockが泣いているような音が聞こえる。彼はうつむいて手の甲を口に当てた状態で、すすり泣きに身体を震わせているようだった。Johnは更にキツく目を閉じる。すると手を下ろしたSherlockはいったん顔を背けた後でまた振り返ると、笑い声を上げ始めた。Johnが目を開いて彼を見るとSherlockは浮かれて笑っていた。彼を見つめながらJohnは前に進み、爆弾のボスのカウントダウン・タイマーを確認する。タイマーは1:28と1:29を繰り返し交互に表示させていた。Johnは信じられない思いで顔を背ける。

-SherlockはJohnが視線を逸らしている間に半狂乱で爆弾を見下ろしていた。すると彼の視線はすぐに爆弾の側面にある小さなスイッチへ向けられた。ニヤリとしながら手を突っ込んでスイッチを切る。

そして現在、Johnは再びタイマーを確認すると宙を見上げた。

JW: 君は…

Sherlockは喜びの涙を頬に伝わせながら立ち上がった。

SH: (ヒステリックに笑いながら)ああ、その顔!

JW: …とんでもない…

SH: その顔!

JW: 君は…

Sherlockはニヤける。

SH: すっかり騙されたな。

JW: ゲス野郎!わかってたさ!わかってたさ!僕は…

SH: (同時に)ああ、君が言ってくれたことね-なんてすてきな言葉だろう!き、君がそんなに想ってくれてたとは(!)

JW: (にらみつけ)殺してやるからな、その言葉を口にするなよ…

SH: (ニヤけて)名誉に懸けて(※)。

JW: …誰にも。知ってたんだな!

SH: あー。(爆弾へ屈み込む)

JW: (怒り狂って)どうやって止めるか知ってたんだな!

SH: 「オフ」にするスイッチがある。

JW: 何?

SH: 「オフ」スイッチは常にあるもんだろ。

Johnも下へ身体を傾けてスイッチを見る。

SH: (立ち上がって)テロリストはすべての事態に対処できないだろ、「オフ」スイッチが無ければ。

JW: (キツく)じゃあ何で僕にあんなことをさせた?

SH: 僕は完全に嘘をついたわけじゃない。全然わからないんだよ、このバカげたちっちゃいライトを消す方法が。

クスクス笑いながら頬に伝う涙を拭う。

SH: ああ!

すると運転席の開いた窓からトランシーバーの音声が聞こえてきて、眩しく光るライトが近付いてくるのがわかった。Johnは宙を見つめてからSherlockを指差す。

JW: それに警察も呼んでたんだな。

SH: もちろん警察を呼ぶさ。

武装した三人の警察官がライフルを掲げ、そのライトを光らせながら近付いてきていた。

JW: 絶対殺してやるからな。

SH: おい、頼むよ(!)僕を殺すって-そんなの二年も前のことじゃないか。

Johnに笑みを見せるとSherlockは運転席へ向かい出す。怒っていながらもJohnは静かに笑った。Sherlockは歩きながらクスクス笑い、Johnは再び腹立たしげに溜め息をこぼした。

 

※名誉に懸けて

…Scout’s honour。真実を述べていることを相手に信じてもらいたいときに使う言葉。

 

 

ホテル。制服をきちんと身に着けた女従業員がワゴンを押して廊下を進んでいく、客室に料理を運んでいるのだろう。305号室を通り過ぎるとカメラはそのドアに注目した。Moran議員がドアを開け、辺りに誰もいないか廊下を注意深く確認するとブリーフケースを持って部屋を出た。エレベーターに着くと、そうしたところで変わりはしないのに下りのボタンを何度も押す。どちらにしろ問題にはならなかった、すぐに引き鉄を下ろした銃が後頭部に向けられ、銃口が首の後ろに突きつけられたからだ。その銃を握っていたのは先程の女従業員。そしてMoranが両手を上げると更に二人の男が反対側から駆け寄り、彼にピストルを向けた。