少ししてKittyは肘掛け椅子に座り、二人は部屋の中ほどに立っていた。Sherlockはヘアピンを使って手錠の鍵を外そうとしていた。

SH: (Kittyに)おめでとう。「Sherlock Holmesの真実」。

手を自由にしてヘアピンをJohnに渡し、Kittyの方へ歩き出す。

SH: みんなが欲しがるスクープを手に入れた。すごいな(!)

KR: わたしは機会を与えたでしょ。そばにおいて欲しかった、忘れたの?あなたは拒絶した、だから…

SH: それで、見ろ、誰かが現れて秘密を漏らした、と。まったく都合がいいな。Brookは何者なんだ?

Kittyは首を振り、話すことを拒否した。

SH: おい、頼むよ、Kitty。電話の終わりの声なんて信じないもんだろう。

Johnはやっと手錠から手を外した。

SH: カフェやホテルの部屋で秘密の打ち合わせ、あいつが君のレコーダーへ早口で話した、それがすべてだろう。あいつを信用できるとどうしてわかる?男はポケットの中に聖杯(Holy Grail)を持って現れる。(厳しく)あいつの証明書は何だったんだ?

※Holy Grail…「最後の晩餐」でキリストによって使用された聖餐杯

玄関の外で誰かがやってくる音が聞こえた、Kittyがドアの方を見ながら不安そうな顔をして立ち上がると、誰かがドアを開けた。Sherlockは彼女の視線を追った…部屋に入ってきたのは、髭を剃らず髪はボサボサ、カーディガンを羽織った普段着姿で買い物袋を持ったJim Moriartyだった。

JM: ねえ、粉のコーヒーは店になかったから、普通の…

Jimは顔を上げると目を見開いているSherlockの姿を見て震え上がった。買い物袋を落として背後の壁にぶつかるまで後退りして、身を守るように手を前に掲げる。

JM: (震えた声で)ここは見つからないって言ったじゃないか。安全だって。

KR: 安全よ、Richard。証拠があるの。証拠の前でこの人は危害を加えない。

Johnはショックを露わにし、Jimを指さした。

JW: (Kittyに)これが情報源なのか?MoriartyがRichard Brookだと?!

歯をむき出しにしてJohnはJimをにらみつけ、完全な怒りで呼吸を荒くした。

KR: そう、彼がRichard Brookよ。Moriartyはいない。存在なんかしてなかったの。

JW: 何を言ってんだ?

KR: 調べてみなさいよ。Rich Brook-Sherlock Holmesが雇ったMoriarty役の俳優。

Sherlockは何も言わず強張った表情でJimを見つめていた。Jimは手を掲げたままみんなを怯えながら見て、震える声でJohnにすがるように言った。

JM: Watson先生、あなたはいい人ですよね。

JimはJohnの凶暴なにらみに怯えながら部屋の角へ後退りした。

JM: やめて…やめて…乱暴はしないで。

Johnは怒ってJimを指さしながら叫んだ。

JW: 違う、お前はMoriartyだ!(Kittyの方を向き叫んだ)こいつはMoriartyだ!(Jimの方を向いて)会ったことがあるよな、忘れたのか?僕を爆破しようとした!

Jimは手で顔を覆い、また前へ手を掲げ、怖くて泣いているかのような音を立てた。

JM: ごめんなさい。ごめんなさい。(Sherlockの方を向いて)お金をくれたんだ。仕事が必要だったから。俳優なんです。仕事がなかったんだ。ごめんなさい、ね?

呼吸を荒くして、JohnはSherlockの方を向いた。

JW: Sherlock、説明を…してくれないか…わけがわからない。

KR: ああ。わたしが…わたしが説明するわよ-新聞で。(Johnへファイルを渡し)ここにある-最終の校正が。

Johnは最新記事の下書き、新聞でどう印刷されるかというレイアウトを示している、写真のための空白を持った校正原稿をめくった。タイトルは『Sherlock Holmesは偽物!』サブタイトル『探偵はすべての事件を捏造した』

KR: (Sherlockの方を見て)James Moriartyをでっちあげたのよね、敵として。

JW: (動揺して)でっちあげただと?

KR: ううん。すべての事件をでっちあげたのよ、実際は-挙げ句の果てに悪者のボスまで創り上げた。

JW: おい、ばかなことを言うな!

Kittyは向きを変え、Jimの方を指さした。

KR: 彼に聞きなさいよ。ここにいるんだから!聞けばいいでしょ。言ってやりなさいよ、Richard。

JW: (イライラして)おい、ふざけるな、こいつは裁判にかけられてたんだぞ!

KR: ええ…(Sherlockを指した)…そしてあなたは彼にお金を払って、罪を被るように雇った。陪審に八百長をさせると約束した。

Sherlockは黙って彼女を見つめていた。

KR: WEST END役とは言えないけど、良いお金になったんでしょうね。

Kittyが歩み寄り、なだめるようにJimの肩に腕を伸ばすと、彼は手を前に掲げたまま立ち上がった。

KR: でもその話を売らないでいるほどには充分でなかった。

Jimは悲しそうにJohnを見て嘆願するような仕草をした。

JM: ごめんなさい。ほんとうに。ごめんなさい。

JW: (Kittyに)それで-それでこれが記事にしようとしている話か。大層な結末だな、Moriartyは役者だった?!

Johnは到底信じられず、首を振った。

JM: 僕のことを知ってるはずです。証拠があります。証拠があるんです。見せてやってくれ、Kitty!何かこの人に見せてくれよ!

JW: ああ、見せてくれ。

Kittyは部屋を進んだ。Johnはバッグを探る彼女の様子を見ていた。彼らの背後で何も言わず自分を凝視していたSherlockへ向けて、Jimは顔を覆っていた手の間隔を少し開け、わずかに表情がわかるようにしてから密かに本性を現し、ニヤリとしてみせた。SherlockはJimの意図がわかり始め、感心しているかのように強張った笑みを浮かべ、黙ってそれを見ていた。Kittyはファイルを取り出し、Johnへ歩み寄って渡した。

JM: (Richardに戻って悲しげにパニックになりながら)TVに出たんだ。子供番組に。物語を話す役で。

Johnは代理店のWebサイトのものと思われるRichard Brookの活動の詳細を見た。メガネをかけ医者の格好をして聴診器を首にかけているRichardの写真が載った新聞記事があった。記事のタイトルは「受賞した俳優が人気医療ドラマの役に抜擢」。

JM: …物語を話す役なんだ。DVDになってる。

JimはSherlockの方をまた見た、今度はRichardのままで。Sherlockはまだ強張った笑顔のままだったが、怒りは頂点に達しようとしていた。JohnはRichardの宣伝写真や芸歴のファイルを眺め続けた。JimはSherlockに嘆願するようにJohnの方を示した。

JM: 言ってやってくれ。みんなもうばれてる。みんな終わったんだ。(半狂乱になって)ねえ言ってよ。言ってくれよ。言えってば!

歯を食いしばりながら、SherlockはJimに歩み寄り始めた。

JM: みんなもう終わりだ…やめろ!

JimはSherlockから後退りし、上のエリアにある寝室へ向かう室内の階段を少し上がった。目は見開かれ怯えていた。

JM: さわるな!僕に指一本触れるな!

SH: (怒って)やめろ。今すぐやめろ!

Jimは向きを変えて階段を駆け上がった。

JM: 来るな!

SherlockとJohnは彼の後を追った。

JW: 逃すか!

KR: 追わないで!

Jimは寝室の向かいにある浴室へ逃げ込んでいく。Kittyは階段の下に残っていて見ることができなかった-Johnも階段の中ほどでSherlockの後ろにいたため視界が塞がれていた-Jimは振り返り、Sherlockだけにニヤリと笑って見せるとドアをバタンと閉めた。Sherlockは駆け寄ったがドアを開けるのに少し手こずり、強引に開けたときには既にJimは窓から外へ逃げてしまっていた。そして外からJimがゴミ箱の上に降りたような音が聞こえた。Sherlockは窓の外を眺めて、振り返ってJohnを止めた。

SH: いやいやだめだ。協力者がいるだろう。

Sherlockは階段へ進んだ。Kittyは通れるように道を空けたが、わざとすぐには動かず、彼がゆっくり降りるように仕向けた。

KR: 何のことだかわかる、Sherlock Holmes?今わたし、あなたを見て、あなたのことがわかる。

Sherlockは階段の下で立ち止まったので、Kittyは彼に目を合わせて告げた。

KR: それから。あなた…とても…不愉快よ。

Sherlockは向きを変え、ドアへ向かった。Richの記事のファイルを抱えたままJohnはKittyを脇へ押しのけ、彼についていった。彼らが出ていくのを見届けてKittyはドアを閉めた。

 

 

二人は通りへ出た。Johnが立ち止まるとSherlockは道路の真ん中ですばやく行ったり来たりし始めた。

JW: そんなことできるもんかな?完璧に人格を変えて、君を犯罪者にするなんて?

SH: あいつは僕の経歴をまるごと手に入れた。盛大な嘘を売り込むときにやることだ。より好ましいものにするために真実で包み込むんだ。

JW: 君なら覆せるだろ。

SH: あいつはこの24時間の間にみんなの心に疑いの種を蒔いた。ゲームを完全なものにするためにやらなければならないことがたったひとつあって、それは…

するとSherlockはひらめいて突然立ち止まった。ファイルを持ったままJohnが見上げると、Sherlockは歩き出した。

JW: Sherlock?

SH: やることがある。

JW: 何だ?僕にも手伝えるか?

SH: いや、自分でやる。

Sherlockは決意を固めて去っていった。Johnはそれを見送りながらため息をこぼし、書類をまた眺めた。そして顔を上げて道を歩き始めた。行くべき場所がわかったらしい。そして反対側の方向へ向かった。

 

 

Barts。Mollyは研究室の小部屋から出てきて灯りのスイッチを消し、暗くなった研究室を進みながら疲れた様子でため息をついた。廊下へ出るドアへ向かう背後の暗闇の中、Sherlockが彼女の方を向かずに立っていた。それに気付かずMollyはドアに手を伸ばした。

SH: 君は間違ってるよ。

Mollyは息を呑んで飛び上がり、声のした方へ振り返った。

SH: 君は含まれてる。いつも含まれていたし、僕はいつでも君を信用してた。

SherlockはMollyの方を向いた。話す声はわずかに震えていた。

SH: でも合ってる。僕はだいじょうぶじゃない。

MoH: 何か悪いことでもあったの。

SH: (ゆっくりと彼女の方へ進みながら)Molly、僕は死んでしまうかも。

MoH: どうしたらいいの?

Sherlockはゆっくりと彼女に近づき、さらに不安そうに語りかけた。

SH: もし僕が全然君の思うような-僕が自分で思っているような奴でなかったとしても-それでも僕を助けてくれるか?

MollyがSherlockを見つめていると、彼は彼女の前で立ち止まった。

MoH: 何が必要なの?

Sherlockはさらに歩み寄り、まるで泣き出したいのをこらえているかのような瞳でMollyを見つめ、より気持ちを込めて答えた。

SH: 君だ。

 

 

ディオゲネスクラブ。Mycroftは共同部屋のひとつを歩いていた。老人が椅子でぐっすり眠っている。そして個室に入るとドアを閉めるため取っ手に手を伸ばしたが、動きを止めた。Johnが彼に背を向けて椅子に座っていた。まだKittyのファイルを眺めている。

JW: あの女はほんとに課題をよくやった、Riley-Sherlockを知る親しい人物。

MH: (ドアを閉めながら)ああ。

JW: 最近弟のアドレス帳を見ました?二人、あなたと僕しかいない。そしてMoriartyは僕からこの内容を手に入れたんじゃない。

Mycroftは彼と向かい合うため部屋に入った。

MH: John…

JW: それでどういう具合ですか、その、あなたの交際関係は?コーヒーを飲みに行きますか、ええ、あなたとJimで?

Mycroftは向かいの椅子に座り、口を開いたがJohnは再び遮った。その声は抑えた怒りに満ちていた。

JW: 自分の弟の、弟の過去を、みんなべらべらとしゃべったんだ、この気違いに。

MH: そんなつもりは…夢にもそんな…

JW: (遮って)それでこれ…こ、こ、これ…(書類をまためくった)…僕に言おうとしてたことは、これなんじゃないですか、「彼の背後に注意しろ、わたしは過ちを犯したから」

Johnはそばにあったテーブルに書類を叩きつけ、椅子にもたれ、咳払いをして落ち着こうとした。

JW: どうやって知り合ったんですか?

Mycroftは深呼吸をした。

MH: 観衆は彼を好む、我々は観衆のことをわかっている、見ている。だがJames Moriarty…世界が目にした中でもっとも危険な犯罪の精神の持ち主、ポケットには最終兵器がある、キーコードだ。どんなドアの鍵も破る何行かのパソコンのコードだ。

JW: それであいつを拘束して、キーコードを見つけようとしたんですね?

MH: 数週間に渡って尋問した。

-Mycroftが独房からは鏡に見えるマジックミラーを見ている-「バスカヴィルの犬」で見た独房-座らされているJimの顔を男が殴りつけていた。

JW: それで?

MH: 協力しそうになかった。

-Jimは殴られた後にゆっくりと顔を上げ、虚ろな表情で尋問者を見上げ、また殴られた。

MH: ただそこに座っていた、暗闇を見つめて。

-再びJimは顔を上げた。攻撃が効いてないようだった。尋問者は再び殴った。

MH: 彼の心を開いた唯一のものは…

Mycroftは悲しそうに自分を指した。

-Mycroftは独房へのドアを開け立ち止まった。Jimは顔を上げ、鏡に映るMycroftを見た。

MH: 私が彼に話をさせることができた…

-Mycroftは中に入り、後ろのドアを閉めた。Jimは目を閉じて幸せそうに微笑んだ。Mycroftは歩み寄った。

MH: …ほんのわずかだが…

Mycroftの声は小さくなって途切れた。Johnは険しい顔をして彼が言おうとしたことを終わらせた。

JW: 見返りにSherlockの身の上を差し出す必要があった。それなら大きな嘘だって-Sherlockは詐欺師だって-みんな鵜呑みにするでしょうね、事実に則ったものなんだから。

Johnは前に屈みこんだ。

JW: MoriartyはSherlockを潰したいんですよ、いいですか?そしてあなたはあいつに、完璧な攻撃手段を与えたんだ。

Johnは苦々しく微笑んだ。Mycroftは目を伏せた。Johnは息を吸い込むと立ち上がってドアの方へ向かった。

MH: John…

Johnは振り返った。Mycroftは顔を上げた。

MH: (小声で)申し訳ない。

JW: (少し呆れて)ああ、それは…

その先を口にするのを拒むように首を振り、礼儀的に笑ってドアへ向かうJohnへMycroftはそっとつぶやいた。

MH: 伝えてくれるか?

Johnはドアを開けて外に出て、開けっ放しにしたままに去っていった。

 

 

BARTS研究室。今は灯りが点いていた。Sherlockは作業台に寄りかかり、ひとりで床に座っている。小さなゴムのボールを床と前にある棚にバウンドさせてキャッチする動作を絶えず繰り返していた。そこへJohnがやってきた。

JW: メール見たよ。

Sherlockはボールをキャッチして、それを握った。

SH: パソコンのコードは鍵になる。それを見つけ出して、使うことができたら-Moriartyをあいつのゲームで打ちのめすことができる。

JW: どういうことだ、「使う」って?

SH: あいつはニセの人格を作るために使った、だから僕達も記録に侵入してRichard Brookをやっつけるためにそれを使うんだ。

JW: そしてまたJim Moriartyを引戻す、と。

SH: (立ち上がりながら)221Bの、どこかに-判決の日-あいつは隠していった。

Sherlockは作業台の方を向いて両手を台の上に置いた。Johnは近くへ歩み寄って、無意識に似たような姿勢を取った。

JW: ああ、うん。

二人はそれぞれの前方をじっと見て考えた。Johnは唇をすぼめ、Sherlockの方を向いた。

JW: あいつは何かに触った?

SH: 林檎。他は何も。

Sherlockはしばらく指先で台を叩いていた。

JW: 何か書いていったりした?

SH: いや。

Johnはため息をつくと顔を背けた。そして考え込みながら、友人が台を指先で叩いているのを無意識に真似していた。しばらくして、Johnは向きを変えて、ため息をつきながら研究室の中を歩き出した。Sherlockは右手の指を持ち上げ、ちょっとためらってから再び指で台を叩き始めたが、今度は特殊なリズムを伴っていた。彼の心の中で二次元コードが指先から流れ出していた。Johnが大きくため息をついたのでSherlockは顔を上げたが、彼はSherlockの鋭くなった表情に気付いていなかった。姿勢を正したSherlockはJohnに背を向け、ポケットから電話を取り出してメールを入力し始めた。

Come and play.

Bart’s Hospital rooftop.

SH

[遊びに来いよ。Bart's病院の屋上。 SH]

彼はちょっと中断して、追伸を加えた。

PS. Got something

of yours you might

want back.

[PS. 君が取り戻したいと思うような物を手に入れた。]

メールを送り、上着に電話を戻すとSherlockは何かを考え込みながら再び台の方を向いた。

 

 

しばらくして、夜が明けた。Sherlockはまだ同じ場所にいたが、今は椅子に座り、作業台に足を乗せている。そして指をすばやく動かしながらゴムのボールを操り、台の上で転がしていた。Johnは近くの作業台にある椅子に座り、腕に頭を乗せて眠っていたが、電話が鳴り出したので仕方なくだるそうに顔を上げ、顔をしかめて電話に応じた。

JW: はい、もしもし。(しばらく話を聞いて、ショックを受け)ええ、何?

その内容に衝撃を受けてJohnは立ち上がった。

JW: 何があったんです?だいじょうぶなんですか?(相手の話を聞いて)なんだって。わかりました、はい、行きます。

そしてJohnは通話を切った。

SH: 何だ?

JW: 救急救命だ。Hudsonさんが-撃たれたって。

SH: 何?どうやって?

JW: (半狂乱で)ああ、たぶん君が引き寄せた殺し屋のひとりだろう…どうしよう。どうしよう。重体だって。Sherlock。行こう。

Johnはドアへ向かったが、Sherlockは動かなかった。

SH: (興味なさそうに)君ひとりで行け。僕は忙しい。

Johnは振り返って呆れた顔をした。

JW: 忙しいだと?

SH: 考え事だ。考えなきゃならない。

JW: 考え事って…?Hudsonさんのことはどうでもいいのか?あの人を傷つけたからってひとりの男を半殺しにしたじゃないか。

SH: (肩をすくめながら)ただの家主だ。

JW: (怒って)死にかかってるんだぞ…

JohnはSherlockの態度が信じられず、怒りのやり場がないかのように腕を振り回した。

JW: 君は機械か。

そしてうなだれて頭を振った。Sherlockはそれでも表情を変えずに座ったままだった。

JW: ちきしょう。ちきしょう。(ドアへ向かった)ここにいたいならいろよ、ひとりで。

SH: 僕はひとりがいいんだ。孤独が守ってくれる。

Johnはドアを開けながらSherlockの方へ振り返り、怒りながらもしっかりとした口調で言った。

JW: 違う。守ってくれるのは友達だ。

そしてJohnは部屋を飛び出していった。Sherlockはそれを見届けるようにドアを眺めていた。

 

 

少ししてSherlockの電話がメールを受信した。ポケットから電話を取り出し、内容を確認する。

I’m waiting...

JM

[待ってるよ…  JM]

Sherlockは脚を台から下ろして立ち上がり、上着のボタンを留めながらドアへ向かい、コートを手に取って部屋を出た。

ライヘンバッハ・ヒーロー 7