221B。Sherlockはリビングへ駆け込み、マフラーを取ってコートを脱ぐと、ラップトップに向かった。

SH: 目と鼻の先に暮らす四人の殺し屋。なのに奴らは僕を殺しにこなかった、生かしておいた。

Johnはダイニングテーブルそばの窓に歩み寄り、外を眺めた。

SH: あいつらが欲しがっているものを僕が持っていた、もしそのうちの一人が僕に近づいたら…

JW: …成し遂げる前に他の奴が殺す。

Sherlockは同意してぶつぶつ言いながらラップトップに手早く入力した。St Aldate学校のサイトの検索結果を表示していた画面にWi-Fiネットワークのローカルリストを呼び出す。それは五つあり、Sherlockは電波の距離とネットワーク名を確認した。

SH: 関心はすべて僕に向けられている。まさに今、webを使った監視の手が僕らに迫ってきている。

JW: それで君が持ってる大事なものって何だ?

Sherlockは遠くを見てしばらく考えこんだ。そしてテーブルの上を指でなぞって、指先を眺めた。

SH: 掃除について訊かないといけないな。

 

 

しばらくして、Hudson夫人は寝間着とガウン姿で上の階へ引っ張ってこられた。Sherlockは部屋の中を駆け回り、家具の埃を確かめていた。

SH: 正確な状況を、先週、何を掃除した?

MrsH: ええと、火曜日にあなたの…

SH: いや、ここで、この部屋でだ。探しているのは-埃の跡の乱れだ。他の物は動かせても埃は無理だろ。

Sherlockは家具をなぞっていた指を離すと空中で振り回し、少しおどけるように言った。

SH: 埃は雄弁だ。

Hudson夫人は肩越しにJohnを見た。

MrsH: (小声で)何に夢中になってるのかしら?

Johnは首を振り、何やらぶつぶつ言ってごまかした。そしてSherlockは暖炉の左にある本棚の上を間近に見ようと家具を登っていた。

SH: カメラだ。盗撮されてるんだよ。

MrsH: なんですって?カメラ?(縮み上がった)ここに?寝間着姿なのに!

そのとき呼び鈴が鳴り、急いで部屋を出ていくHudson夫人にJohnも念のためついていった。Sherlockは降りてきてマントルピースの上にあるドクロの目の窪みを確認していた。そして暖炉の別の側にある本棚を見るために小さなテーブルに上った。本棚の上、右の方にある本が他のものより動いているのに気付き、それを棚の奥へと押してみると棚の側面にカメラがあるのが見えた。手を伸ばしてそれを取るとGregがJohnを連れて部屋にやってきた。

SH: (向きを変えず、カメラを取るのに集中しながら)お断りだ、警部。

GL: え?

SH: (カメラを指で掴んで降りながら)断るというのが答えだ。

GL: でも質問を聞いてないじゃないか!

SH: 僕を署に連れていきたいんだろう。質問の手間を省いているんだ。

Sherlockは歩み寄ってきた。Gregは呼吸を整えた。

GL: Sherlock…

SH: (遮って)密告か?

GL: ああ。

SH: 誰が?Donovanか?Donovanだろうな。なぜだか知らないが僕が誘拐の当事者だって?ああ、Moriartyは賢いな。あいつは疑念を植えつけたんだ、ちょっと厄介な気持ちをさ。抵抗するには気を強く持たなくてはならない。あんただってその考えを振り払えないんだろう?一度ならず浮かんだはずだ…(手を伸ばしGregの額に人差し指の先で触れて)…そこに。

GL: 来るのか?

SH: (向きを変え、ラップトップの前に座って入力し始めながら)一枚の写真-それがあいつの次の手だ。Moriartyのゲーム、まずは密告、そして尋問のために撮られた僕の写真。あいつは僕を潰したいんだ、じわじわと。

またカメラを手に取り、少しそれを眺め、Gregの方へ顔を上げた。

SH: ゲームなんだ、Lestrade、そしてそれは僕が望むものじゃない。(視線をまた逸らして)Donovan巡査部長に敬意を表するよ。

ため息をついてJohnとちょっと視線を交わすと、Gregは向きを変えて階段を降りていった。Johnは彼が出ていくのを見届けてからSherlockの方を向いた。彼はパソコンの画面で映像が見られるようにカメラを接続していた。

 

 

下の階でGregは玄関へ向かい、入口で待っていたSallyへ渋い顔をした。Gregは前を通り過ぎ、表に出る。Sallyは振り向いて不満そうに上司を眺め、後に続いた。

 

 

上の階。Johnは右手の窓に歩み寄り、外に駐められていた車を見下ろした。GregとSallyが近付いて乗り込もうとしている。Gregは乗る前に窓の方を少し見上げた。車は走りだし、SherlockはJohnを一瞥した。

SH: 決断を迫られるな。

JW: 決断?

SH: 令状を持ってきて、僕を逮捕するかどうか。

JW: そうなのか?

SH: 常套手段だ。

JW: 一緒に行けばよかったのに。みんなきっと…

SH: 他人がどう思おうと関係ない。

JW: バカだとか間違ってるだとか世間が考えるとしたら、君だって気にするだろう。

SH: いいや、それは世間がバカか間違っているんだ。

腹を立ててJohnは彼の方を向いた。

JW: Sherlock、僕は嫌だよ、世の中が君のことを…

Johnが言葉に詰まるとSherlockは顔を上げて彼を見た。二人はしばらく見つめ合った。

SH: 僕を何だと?

JW: …詐欺師。

Sherlockは目を回し、椅子にもたれた。

SH: 君も疑ってるのか。

JW: え?

SH: 君も疑ってるんだろう、僕のことを。

JW: 違う。

SH: だから動揺してるんだ。そうかもしれないという疑念を抑えることができないんだろう。自分も騙されていたのかと恐れてる。

JW: (距離を取りまた窓の外を眺めながら)そんなことない。

Sherlockは前に屈みこんだ。

SH: Moriartyは君の心も弄んでる。(怒ってテーブルを叩きつけ)何が起きてるかわからないのか?!!

Johnは落ち着いて数秒間Sherlockを見つめ、また窓の外を眺めた。

JW: いいや、僕はほんとうの君を知ってる。

SH: 100%?

JohnはSherlockを見て、小声だがしっかりとした口調で言い返した。

JW: こんなうっとうしい奴(dick)をずっと演じ続けるなんて無理に決まってる。  (※dick…男、やつ、または探偵の口語)

SherlockはJohnと目を合わせ、わずかに呆れたような笑顔を作った。Johnはまた視線を外し、外を眺めた。

 

 

スコットランド・ヤード。Gregは警視長の前に座り、SallyとAndersonは近くに立っていた。警視長は席に座った。

警視長: Sherlock Holmesが?

GL: ええ。

警視長: そいつは新聞に出てたな。

GL: ええ。

警視長: 私立探偵だと認識していたが。

GL: そうです。

警視長: 我々は彼から助言を受けていたと-それは君が…私に言っていたな?

Gregはうなずいた。

警視長: しかし通常の事件では使っていなかったんだよな?

GL: ええ、一つか二つ。

手を前で組み、足元を見つめていたAndersonは鼻で笑った。

Anderson: (小声で)もしくは20か30。

警視長: 何だと?

GL: ああ、こういうことをしていたのは私だけじゃないんです。Gregson…

警視長: (遮って)黙れ!一般人の探偵が機密情報のすべてに触れることを許されていた、そしてそいつが事件の容疑者だと!

GL: お言葉を返すようですが…

警視長: (遮って)このバカモノが、Lestrade!さっさと奴を捕まえに行け!

Gregはためらった。

警視長: (厳しく)やるんだ。

Gregは立ち上がり、三人は部屋を後にした。警視長はメガネを取り、頭を抱えた。

 

 

部屋を出た三人はメインオフィスを進んでいた。

GL: お前ら確信があるのか?

Anderson: そうじゃなかったらこの事件はどうなるんです?あいつがやったことはどうなるんですか?

Sallyはコートスタンドを通り過ぎながらコートを掴んだ。Andersonはコートは要らないらしく温度を感じない冷血な爬虫類となって外に出た。Gregはコートを取るために立ち止まり、それから電話を取って掛け始めた。他の二人に悟られないようにしながら、彼は耳に電話を当てた。

 

 

しばらくして、221Bのリビングに立っていたJohnは電話を下ろし、通話を切った。そして肘掛け椅子に座っているSherlockの方を向いた。

JW: あのさ、権力に支配された友人がいるみたいだ。Lestradeが。あいつら今からここに手錠を嵌めるために押しかけてくるって、君がバカ扱いしてきた警官たちが大勢。

SherlockはJohnの話に注意を払っていないようだった。そこへHudson夫人がいつもの「あらあら!」という声と共に、閉められていたリビングのドアをノックして入ってきた。夫人は部屋の緊張感を感じ取ったようだった。

MrsH: あら、ごめんなさい、おじゃまだったかしら?

Sherlockは目を回して顔を背けた。Hudson夫人はJohnに用件を伝える。

MrsH: 小包が届いてたの。忘れてたわ。「要冷蔵」ですって。-サインしなきゃいけなかったのよ。

Johnは荷物を受取るとすぐに蝋で封がしてあるのに気付いた。Sherlockも見逃していなかった。

MrsH: おもしろい名前ね。ドイツの、お伽話みたい。

SherlockはJohnが封を開けて中身を取り出す様子を鋭い視線で見つめながらゆっくりと立ち上がった。外からいくつかの車両が近づいてくるサイレンが聞こえる。Johnは封筒の中から取り出した大きなジンジャーブレッドマン(※)を手にしていたが、それは色がおかしかった。Sherlockによく見えるように傾ける。

SH: 焦げるほど焼かれてる(burn-t)。

サイレンは止まり、車両が外に駐められ、バタンとドアの音を立てて人々が車から降りた。

JW: どういう意味だろう?

呼び鈴が鳴り、同時に玄関のドアが叩かれた。

声: 警察だ!

MrsH: あたしが行くわ。

Hudson夫人は向きを変え、ドアがノックされ続ける中、急いで階段を降りていった。ドアを開けると声が部屋の中まで聴こえてきた。

SD: (画面外)Sherlockは…

GL: (画面外)こんばんは、Hudsonさん。

SD: (階段へ呼びかけながら)あなたに話があるんだけど!

Johnはジンジャーブレッドマンを封筒に戻し、テーブルに置いて部屋を出た。下でHudson夫人が怒っている声が聞こえる。

MrsH: (画面外)余計な口出しをしないでちょうだい!

階段を上がる足音が聞こえた。Sherlockは落ち着いてマフラーを取り、首に巻いた。Johnは階段の半ばで阻止しているようだった。

JW: (画面外)令状はあるのか?あるのかよ?

GL: (画面外)どくんだ、John。

MrsH: (画面外)ほんとに!失礼よ!

Sherlockはコートを着た。少ししてGregが部屋に現れ、別の警官がSherlockの左手首に手錠を嵌める間、令状を読み上げた。

GL: Sherlock Holmes、誘拐と略取の疑いであなたを逮捕します。

JohnはGregを見ながらSherlockの方へ行こうとしたが、警官はもう片方の手に手錠をするためにSherlockの左手を後ろに引いた。

JW: 抵抗してないだろ。

SH: いいんだ。John。

JW: 抵抗してないのに。いいや、よくなんかない。こんなのばかげてる。

GL: (Sherlockに手錠をした警官へ)下に連れて行け。

警官はSherlockをドアの外へ連行した。Hudson夫人はほとんど泣きながらそばに立っていた。

JW: (Gregに)余計なことをあんたは…

GL: (顔を向け厳しく指を差しながら)邪魔をしないでくれ、さもないと君も逮捕するぞ。

Gregは部屋を去った。Johnはドアのそばに立っているSallyの方を向いた。

JW: あんたか?

SD: (満足気な表情を顔に浮かべて部屋へ入りながら)ええ、言ったでしょう。

JW: うん?

SD: 最初に会ったとき。

JW: なんだよ。

SD: 「事件を解決するだけじゃ満足しない。いつか一線を超える」。ねえ、自分に聞いてみたら、どんな男が、さらわれた子供を見つけ出すことでみんなの興味を惹くことができる誘拐をやるだろうか、って。

Hudson夫人は、はっと息を呑んだ。そこへ警視長が入ってきた。

SD: 長官。

警視長: 奴は捕まえたのか?

SD: ええ、はい。

警視長:必要ならと思ってあの変質者の様子を見に来た。

警視長はリビングを見回しながら話していたが、自分を見つめるJohnの方へ顔を向けた。

警視長: 何を見ている?

Sallyは目を見開き、何が起こるかわかっているが防ぎようがなくただ俯いた。Johnは動作を開始した。

 

※ジンジャーブレッドマン

…人の形に焼かれたジンジャークッキー。生姜を入れたクッキーの一種で、クッキーの中でも伝統的なもの。ジンジャーブレッドハウスはジンジャークッキーで作られた家型の洋菓子で、グリム兄弟の童話『ヘンゼルとグレーテル』に登場する「お菓子の家」のモデルとされる。またジンジャークッキーをイギリスからドイツに紹介したのもグリム兄弟である。

 

 

数分後、警視長は血を流す鼻をハンカチで押さえながら通りへ出てきた。今回Johnが拳を向けたのは、頬ではなかったらしい。

警官: (警視長へ)だいじょうぶですか?

その近くで、Sherlockがパトカーに向かって立たされていた。そこへJohnが彼の左側に押し付けられた。Sherlockは驚いて相棒を見た。

SH: 君もか?

JW: ああ。警視長の顎に触れるのは違法らしい。

SherlockはJohnに気付かれないよう顔を背けてニヤりとした。背後で警官がSherlockの右手の手錠の鍵を外しJohnの右手首に嵌め、二人を繋いだ。Sherlockは肩越しに警官たちが何をしているか、どこにいるかを観察した。

SH: (Johnへ)ふん。気まずいな、これは。

JW: は。僕達に味方はいない。

SH: ちゃんと考えていたさ、目前にある大胆な脱出方法を。

Sherlockは寄りかかっている車のダッシュボードにある無線を見下ろした。無線は発信者が話すと音を立てた。

無線発信者: 27への全部隊。

JohnはSherlockの発言を聞いてあたりを見回した。

JW: え?

無線発信者: 27への全部隊…

すばやくSherlockは車の開いている窓へ自由な方の手を伸ばし、無線の通話ボタンを強く押した。すぐに背後の警官が痛みに襲われて屈みこみ、高音を発するイヤーピースを掴んだ。後ろへ手を伸ばしたSherlockは警官のピストルを取り上げて、すぐに上に掲げる。手錠でつながった右手が一緒に上に挙げられたJohnは、あまりのすばやい出来事に驚いて息を呑んだ。Sherlockは声を上げると近くの警官を銃で狙った。

SH: 紳士淑女のみなさん、膝をついてもらえるかな?

Gregの「勘弁してくれよ…」という気持ちが態度に表れていた。誰もすぐに反応しないのでSherlockは空へ向けて銃を挙げ、二回発砲した。

SH: さあ言うことを聞け!

Sherlockは銃を下ろし、また警官へ向けた。

GL: あいつの言う通りにするんだ!

Gregはみんなに指図し、警官たちはひざまずき始めた。それを見ながらSherlockとJohnは後ろ歩きを始めた。

JW: (大声で)わかってるだろうけど、銃は彼の思いつきなんで。僕はただ、ほら…

Sherlockは銃を右手に持ち替え、即座にJohnの頭に当てた。

SH: (大声で)…人質だ。

Johnは息を呑んだ。

JW: (小声でSherlockに)人質!そうか、それはいい-いい考えだ(!)

二人はひざまずいている警官たちから離れて行った。興奮している二人は気づいていないが、背後にある家の壁に新しいグラフィティがスプレーで描かれていた。赤い字で大きく「IOU」。二人は周りに用心して角を曲がった。

JW: で、どうするんだ?

SH: Moriartyの望むことをやってる-逃亡者になるんだ。走れ。

Sherlockは振り返り、Johnを引き連れて道を走った。Gregは頭を抱え、警視長は立ち上がって彼の方を向いた。

警視長: 奴らを追うんだ、Lestrade!

Gregはイライラしながら、二人が逃げていった方へ向かうSallyをにらみつけ、だいぶ遅れて動き出した。

 

 

逃亡者二人は角を曲がると並んで走り、Sherlockは手錠の余っている鎖を手首に巻きつけた。

SH: 手をつなぐんだ。

JW: (彼の手を取り、前へ走りながら)絶対みんなに言われる。

サイレンが前方から近付いてきた。Sherlockは左へ急に向きを変え、途中でピストルを落とした。

JW: 銃が!

SH: 放っておけ!

SherlockがあわててJohnを脇道へ押し込むと、パトカーが交差点をまっすぐに走っていった。それをやり過ごして二人が路地を走って行くと高い柵が道を塞いでいた。Sherlockはいつもの要領の良さでゴミ箱の上へ乗り、柵を飛び越える。Johnの右手は上へ引っ張られ、Sherlockが向こう側へ降りると柵に顔がぶつかりそうになった。

JW: Sherlock、待てって!

Johnは柵越しに自由な方の手を伸ばし、Sherlockのコートを掴んで近くへ引っ張り彼の顔をにらみつけた。

JW: (はっきりと厳しく)連携して動かないとだめだ。

Sherlockはすばやくあたりを確認した。

SH: 右へ行くんだ。

JW: は?

SH: 右へ行くんだ。

Sherlockは上を見て、柵の上に引っかかっている手錠の鎖を外そうと爪先立ちになった。

 

 

それほど経たずして、柵を乗り越えた二人は路地を走っていた。丁字路に着くとSherlockは右へ曲がり、すぐに止まって隠れるとサイレンを鳴らしたパトカーが脇道の端を通り過ぎていった。二人は壁に並んで寄りかかりながらしばらく息を整えた。

SH: みんなそう思いたいんだ-だから見事に作用する。(Johnを見て)真実よりも好ましい嘘。(顔を背け、声を落ち着かせて)「すばらしい推理はみなただの見せかけだった」。誰も不満を感じない。-「Sherlock Holmesは単なる普通の人間だ」。

JW: Mycroftはどうだ?力になってくれるかも。

JohnはSherlockに路地の向こう側へ引っ張られてうめき声を出し、丁字路の左の方を見た。

SH: 感動的な家族の和解?今はそんなときじゃない。

Sherlockは向きを変えてJohnを背後で引っ張り回し、来た道を振り返る。Johnは丁字路の右に何かを見つけた。

JW: Sher…Sherlock。

Johnはその方向を向かせようと繋がれている方の手の肘で突いた。顔は路地の行き止まりの角へ向けられていた。

JW: つけられてるぞ。警察から逃げられるわけない、わかってたよ。

SH: あれは警察じゃない。ベイカーストリートの新しい隣人のひとりだ。あいつが何か答えを与えてくれるか試してみよう。

Sherlockは男が見ている向かいの方角へ飛び込んだ。次の角まで走って二人は壁にへばりつき、Sherlockはそこからあたりを見回した。警察の気配はなかったが、ダブルデッカーバス-74番ベイカーストリート駅行き-が近づいていた。Sherlockはまた壁へと戻った。

JW: どこへ行くんだ?

SH: バスの前に飛び込む。

JW: え?!

Sherlockは既に動き出してJohnを通りの外へ引っ張った。暗殺者は彼らを追う。道路の真ん中でSherlockが近づくバスの前に急停止したので、Johnは勢いでSherlockを追い越し、振り回された。二人ともバスに向かって動きを止める。それを見た暗殺者が彼らへ向かって飛び込んで道路の外へ押しやると、三人とも地面へ倒れこみ、バスはクラクションを鳴らしながら通り過ぎた。暗殺者が回復する前にSherlockは起き上がって男のジーンズから銃を取り、引き金を引いて彼に向けた。

SH: 何を狙っているのか言え。

男は目を見開いてSherlockを見たが、何も言わなかった。Sherlockは銃口を彼に近づける。

SH: 言うんだ。

暗殺者: あいつはあんたの家に残した。

SH: 誰が?

暗殺者: Moriarty。

SH: 何を?

三人は立ち上がり始めた、Sherlockはまだ銃を向けている。

暗殺者: コンピューターのキーコードだよ。

SH: だろうな。あいつはそれを売ってる-タワーに侵入するのに使ったプログラムを。あいつは来たときに置いていったんだ。

三発の銃声が鳴り、暗殺者はよろめいて地面に崩れた。Sherlockは銃声の方を見上げ、方向を変えて走りだした。再び警察のサイレンが近づき、二人が開いている戸口に逃げ込むとパトカーが道路の端を通り過ぎていった。二人は息を整える。

SH: ゲームを変えるもの。鍵だ、家にいながらにしてどんなシステムにも侵入できる。だからあいつはみんなにメッセージで行くべき場所を伝えたんだ。「Get Sherlock」。家に戻って探さなきゃいけない。

JW: 捜査課は野宿させられるな。なぜそれを君に?

SH: 僕に汚名を着せるための、また別の巧妙なやり方だ。今や僕は犯罪者たちの仲間入りだ。

Johnは近くにあった屋外スタンドに新聞の山があるのに気づき、そのひとつを取った。

JW: ああ、ええと、これは見たか?

それは「The Sun」誌-Mycroftがディオゲネスクラブで持っていたものと同じもので、Kitty Rileyによるスクープが報じられていた。JohnはSherlockに見せた。

JW: 接触と密告。Rich Brookによる暴露。

Sherlockはゆっくりと顔を向けた、あきらかにその名前が彼に何かをもたらしていた。Johnは新聞を見ていて彼の表情を見ていなかった。

JW: こいつは誰なんだ?

 

 

Kitty Rileyは家の外へ車を駐め、鍵を締めて玄関へ向かった。ドアを開けて玄関へ入り、部屋のドアへ向かったが、ふと立ち止まって緊張した面持ちでドアを眺めた。それはわずかに開いていた。ためらいながらドアを押し、壁に手を伸ばして照明を点けた。灯りが点くとSherlockとJohnが並んでソファに座っている光景を目の当たりにした。彼らはそれぞれ手錠をかけられた手の指で膝を叩いていた。

SH: 公式発表には遅すぎるかな?

ライヘンバッハ・ヒーロー 6