バスカヴィル。StapletonはSherlockとJohnを案内し、カードを通してBarrymore少佐のオフィスへ入った。奥へ進みながらSherlockは入ってきたドアを指す。

SH: John。

JW: ああ、僕が見てる。

Johnはドアを見張り、Stapletonはコンピューターへ向かって座った。

SH: HOUNDプロジェクト。それについて閲覧されていたか、記憶されているはずだ。CIAの実験、Indiana州Libertyの施設で。

SherlockはStapletonの背後に立ち、StapletonがコンピューターへユーザーIDとパスワードを入力する。『検索文字列の入力』という画面が現れ、文字の指示を待ってSherlockを見上げた。

SH: H、O、U、N、D。

博士が文字を入力してEnterを押す。『アクセス不可。CIA機密』というメッセージが現れて許可コードを求めてきた。

Stapleton: わたしのアクセス権限からはほど遠いわね、怖い。

JW: ああ、ユーザーとパスワードを変えなきゃだめみたいだな。

Stapleton: そうでしょうね、でもBarrymore少佐のでないと。

Sherlockは振り返ってBarrymoreのオフィスに入っていった。

SH: パスワード、パスワード、パスワード。

部屋のライトを点け、デスクの前の椅子に座る。

SH: 彼はそれを考えるときにここに座った。

手を合わせて口元に当て、ゆっくりと回りながらオフィスを見渡した。Stapletonがドアにやってきた。

SH: 彼のことを説明してくれ。

Stapleton: あなた会ったでしょ。

SH: でも説明してくれ。

Stapleton: ええと、とんでもなく規律にうるさくて、隔世遺伝、スエズに送られた男。

SH: よし、すばらしい。旧式な人間だ、伝統主義者、パスワードに子供の名前を使ったりする人間じゃない。(机の前の上部にあるボードにピンで留められていたBarrymoreの子供が父に描いた絵を指す)仕事を愛してる、この仕事に関わっていることを誇りに思っている、目の高さはどれくらいだ?

すばやく部屋の周りすべてを入念に見る、視線の角度を変えずに。

SH: (右へ動作しながら)本。(左の方を指し)Hannibal(※カルタゴの将軍)、Wellington(※ウォータールーでナポレオン1世を破った英国の将軍)、 Rommel(※ドイツの陸軍元帥)、Churchill(※英国の政治家・著述家で元首相)の「英語諸国民の歴史」-全四巻。

立ち上がって棚に置かれた銅の胸像を見る。

SH: Churchill-そう、Churchillを好む。(本棚をまた見て)「ダウニング街の日々」の複写本、1、2、3、4、5に分かれたThatcherの伝記。

机の上には、軍隊の制服を着て十代の息子と一緒に立っている男性の写真が飾られていた。

SH: 1980年半ばと思われる。父と息子、Barrymoreより年上。(年長者の軍服を見て)勲章: 英国軍の勲功。

軍隊に関する知識を求めてSherlockはJohnの方に顔を向けた。

JW: その日付?フォークランド(※)の退役軍人だろう。

SH: そうか。ならばChurchillよりThatcherの方が可能性があるな。

彼はオフィスを出てコンピューターへ向かった。

Stapleton: (後を追いながら)じゃあそれがパスワード?

SH: 違う。Barrymore少佐のような男はファーストネームだけを使うだろう。

キーボードへ屈みこみ、彼はMargaret Thatcherのファーストネームを『承認コード』枠に入力し始めたが、最後から二番目の文字で止まり、目を細め最初の文字まですべて消した、そして『Maggie』と打ち直した。画面を見てわずかに歯をかみしめてからEnterを押す。コンピューターは成功を表す音を出し、『OVERRIDE 300/421 ACCEPTED. Loading ..(上書き 300/421 承認済み 読み込み中…).』とアナウンスした。Johnもドアから離れて歩み寄った。画面の表示はわずかに止まった後、H.O.U.N.D.プロジェクトに関して入手できた情報すべてを流し始めた。Sherlockの集中力は強まり、必要なフレーズを選び出した。それは『極度の被暗示性』『恐れと刺激』『調節された恐怖』『煙霧質の散布』というようなものだった。一枚の写真が表示された-プロジェクトチームが一緒に楽しそうにポーズをとっている。彼は大きい方のグループから五人のプロジェクトリーダーを見分けた-Elaine Dyson、Mary Uslowski、Rick Nader、Jack O’Mara、そしてLeonard Hansen。画面の写真をクリアにし、彼はその名前を求める形に再構築した。

Leonard Hansen

     Jack O’Mara

     Mary Uslowski

      Rick Nader

    Elaine Dyson

そばに立っていたStapleton博士はついに理解し始めた。

Stapleton: HOUND。

博士は怖さが増すのを感じながら、プロジェクトの更なる情報が現れる画面を見つめた。強調されているのは『偏執症』『強烈な前頭葉の損傷』『血液脳』『甚だしい頭蓋の精神的外傷』『危険の促進』『多数の殺人』…プロジェクトの何人かの実験対象が正気でない様子で叫んでいる写真が添えられていた。

JW: (小声で)なんてことだ。

SH: (まだ画面を流れる情報を入念に見ながら)プロジェクトHOUND。新しいせん妄発生薬、使用者を非常に暗示にかかりやすくさせる薬。それを恐怖と刺激を用いて敵を完全に混乱させる対人兵器として利用しようとした。しかし1986年に中断して隠された。

Stapleton: テストしている対象者へそれが行われたから。

SH: そして他のものにも被害は及んだ。遷延被曝は彼らを精神異常者にした-ほとんど制御できないほど攻撃的にした。

JW: それで何者かがまたそれを行った-実験を続けた?

SH: 改良しようと試みた、恐らく、最近20年間で。

Stapleton: 誰が?

Johnはプロジェクトリーダーの名前が表示されている画面を示した。

JW: これらの名前に何か思い当たるものはありますか?

Stapleton: いいえ、何も。

SH: (ため息をついて)五人の主要な化学者、20年前。

Sherlockはチームの写真を引き出して各人がわかるようにズームし始めた。近距離の映像は彼らがみな同じトレーナーを着ていることを示した。トレーナーの中央には菱形の模様がぼんやりと見えていて、吠える狼の頭のプリントがあり、“H.O.U.N.D.” と下に銘打たれていた。下にさらに小さな文字があったが明確でなく何を謳っているのかわからなかった。Sherlockは写真のズームインとアウトを続け、顔がより近くに見えるようにした。

SH: たぶん僕らの知り合いがこの写真の後ろのどこかにいる。-1986年の実験の時に存在するのに充分年を取った誰かが…

そこで見覚えのある顔を見つけて止まった。そして真実がわかると少し目を回した。

SH: おそらくアメリカで過ごしていたために“cell phone”という人物だ。思い出せるか、John?

JW: うむ。

-Frankland博士がSherlockに名刺を渡しながら言っていた-「私の、ええと、携帯電話の番号(cell number)だ」 

SH: 彼は必要なときにと僕らに番号を渡した。

Stapleton: (画面の写真を見つめ)ああ、なんてこと。Bob Franklandよ。でもBobは関わってないはず…だってウイルス学者なのよ。これは化学的な戦争行為でしょ。

SH: それが出発点だったんだ…しかし確信を失わなかった、ドラッグは本当に作用するという執念。番号を教えてくれて良かった。(ポケットを探ってBobの名刺を取り出し)ちょっとした会合の場を設けよう。

Sherlockはコンピューターを離れた。Johnはコンピューターに近寄り、最後の画像を見た。

-非常に近距離に寄ったトレーナーの写真。“H.O.U.N.D.” という縫い込まれた銘の下にはプロジェクトが基盤としていたアメリカの町と州の名前があった、“Liberty, In”。するとJohnの電話が鳴り出した。ポケットを漁って画面のナンバーに顔をしかめる、どうも見覚えがないらしい。けれども彼は応じた。

JW: もしもし?

始めにJohnが聞き取れたのは女性の泣き声だった。

JW: どなたですか?

LM: (電話の向こうから)Henryを探して。

JohnはSherlockの方を見た。

JW: Louise Mortimerだ。(電話へ)Louise、何かあったの?

LM: (涙ながらに)Henryが…思い出して…それで…彼は…

彼女はあえいだ。

LM: 銃を手にしたの。それで撃とうとして…

JW: なんだって?

また泣き崩れる。

LM: 出ていったの。彼を止めて。何をするかわからない。

JW: どこに-君はどこにいる?

LM: 彼の家。だいじょうぶ、わたしはだいじょうぶ。

JW: わかった、そこにいて。誰かをそっちへやるから、いいね?

Johnは電話を下ろし、メールを打ち始めた。

SH: Henryか?

JW: 彼が彼女を攻撃した。

SH: 出ていったのか?

JW: うん。

SH: (自分の電話のスピードダイアルを押しながら)行くところはひとつしかない、すべてが始まったところへ戻った。(電話へ)Lestrade、Hollowへ行ってくれ、Dewer's Hollowだ、今すぐ。銃を持っていけ。

 

※フォークランド

…1982年、南大西洋の諸島でフォークランド紛争が勃発。当時の首相Thatcherの強硬な姿勢によるフォークランド奪還はイギリス国民からの評価が極めて高い。

 

 

まだ銃を手に持ちながら、Henryは荒野を歩いて、木々に囲まれたDewer's Hollowへ向かった。

いくらか離れてSherlockとJohnはLand Roverで後を追う。

それを知らずにHenryは歩き続け、涙を浮かべながら前に広がる森を見つめて立ち止まったが、また先へ進んだ。

それほど離れていないあたり、森が始まるところでSherlockが車を止めてJohnと中へ入っていく。

HenryはHollowのふちへ着き、霧深い谷へ降り始めた。谷の底に着くと速度を落としゆっくりと前へよろめきながら進んだ。しばらく漠然とさまよい、やがて立ち止まった。

HK: (小声で)ごめんなさい、ごめんなさい、お父さん。

Henryはしゃがみ込んで、ピストルを持ち上げると口を開いて銃で狙った。

SH: やめろ、Henry、だめだ、やめるんだ!

SherlockとJohnは彼をライトで照らしながら坂を急いで降りてきた。Henryは立ち上がってピストルを漠然と彼らの方へ向けて揺らしながら後退りし、ヒステリックな声で叫んだ。

HK: 来ないで。離れて-僕に近づかないで!

JW: 落ち着け、Henry、落ち着いて。リラックスするんだ。

HK: わかってる。自分が何をしようとしてるかわかってる!

JW: 銃を下ろして。だいじょうぶ。

HK: (苦悩で声がかすれて)いやだ、いやだ、わかってる!

SH: (安心感を与えるように)ああ、何をするかわかってる、Henry。すべて君に説明されていたことじゃないか-入念に説明されていた。

HK: え?

SH: 誰かが君をおとなしくさせ、執着している夢を強くして、子供のようにさせる必要があった、君が思い出し始めたからだ。

Sherlockは彼に近づき始めた。

SH: さあ思い出せ、Henry。君は幼い少年のとき、ここで何が起きたかを思い出していたんだ。

しばらくHenryの銃を持つ手は垂れていたが、またそれを上げた、彼の顔は理解しようという苦しみで満ちていた。

HK: 父さんを捕まえたのはあれだと思ってた-猛犬。僕は…

彼は自制心を失って苦悩して叫び始めた。

HK: ああ、も、…ああ、もう、僕は…僕はもう何も知りたくない!

泣きじゃくりながら前へうつむいて、再び銃で口の中を狙う。

JW: (よろめきながらHenryの方へ向かって)やめろ、Henry!Henry、お願いだから!

SH: Henry、思い出せ、『Liberty In』、二つの言葉、20年前、少年が怯えながらここで見た二つの言葉を。

Henryは少し落ち着いたが、まだ背中を丸め、銃口を口にあて続けていた。

SH: 君は物事をつなぎあわせ始めた。思い出せ、ここでの夜に本当はなにが起こったのか。それは動物じゃなかった、そうだろ、Henry?

Henryはまばたきしながら起き上がり始めた。

SH: モンスターじゃない。

Henryは呆気にとられたように彼の方へ顔を向けた。

SH: 男だ。

 

Henryは記憶が呼び起こされると目を見開いた。短いフラッシュの中で彼は真実を再度体験し始めていた。いつも父親が攻撃者から逃れようと地面をひっかき回しているところを思い出していたが、今はその冒頭部分だった。Henryは父親を後ろへ引っ張っているのが怪物ではなく、暗い色の革で出来た旧式のガスマスクを装着した男だということと、そのマスクのガラスで出来た二つの大きな目が赤く光っているらしいことがわかった。幼いHenryは坂を少し上がったところにいて、攻撃者が父親を殴るのを見て怯えていた。男は首を締めながら父親の顔を乱暴に殴っている。Knight氏はどうにか逃れようともがき始めたが、攻撃者が凶暴にうなり、彼を後ろへ引っ張ると父はバランスを失い、身体が前方へ投げ出された。そのとき彼は岩で頭を強く打ち、地面につぶれ、動かなくなった。ガスマスクを通し荒い息をしながら男は彼を突っついた。もう動き出さないとわかると立ち上がる。たった今殺した人間を見下ろしている男、そして幼いHenryはその男が着ているトレーナーを見た。狼のようなものが吠えている絵、そしてH.O.U.N.D.という文字が下にあり、さらにその下に“Liberty, In”とあった。幼いHenryの心はすべてを混同し始め、少し経った後に犬を散歩させている老婦人と会った、彼の強い嫌悪感は新たな恐怖によって完成した。

 

 

現在、彼は心の中に真実を甦らせたSherlockを呆然として見つめていた。

SH: 君はうまく処理できなかった、子供だった、そして全然違うものに解釈した。でも思い出し始めてしまった、それを止めなければならなかった、心から追い払った、だから誰も君の言うことを信じなかっただろう。

Johnは静かに前へ進み、元気付けるようにHenryへ手を伸ばした。そこへLestradeが到着して、彼らの方へ呼びかけながら駆け下りてきた。

GL: Sherlock!

JW: (Henryへやさしく)よし、だいじょうぶ、な。

Johnは用心しながらピストルをHenryの指から外した。Henryは涙ながらにSherlockへ話しかけた。

HK: でも僕らは見た、猛犬、昨日の夜、僕らは…僕ら、僕らは、僕らは見た…

SH: ああ、でも犬だったんだ、Henry。足跡を残して、証拠を残した、けどそれは普通の犬以上のものじゃなかった。二人とも見たのは-薬に惑わされた心が求めるものだったんだ。恐怖と刺激、それらが作用するものを。

Henryは混乱して彼を見た。Sherlockは同情しながら彼を見ていた。

SH: でもそこにはモンスターなんていなかったんだ。

しかし猛犬は違う意見のようで、再び苦悩に満ちた遠吠えを森の上に響き渡らせた。みんなが顔を上げ、JohnとGregがライトでHollowの上部を照らすと、奇妙な低い姿をしたものがゆっくりと縁に現れ、うなり声をあげた。

JW: Sherlock…

Sherlockが信じられない様子で上を見つめると、Henryは恐怖でいっぱいになり、彼に振り向いた。

HK: いやだ。(パニックになり泣き叫び始めた)いやだ、いや、いや、いやだ!

Henryは振り返り、Sherlockは彼を落ち着かせようと手を伸ばし、自分のライトを上にいる怪物の方へ向けて照らした。

SH: Henry、Henry…

JW: Sherlock…

怪物はHollowの縁をそっと歩き続ける。Henryは救いがたい恐怖に襲われ、「いやだ!」と叫びながら膝から崩れ落ちた。

JW: Henry!

猛犬はHollowの方へ顔を向け、悪意を持ってうなりながらみんなを見下ろしている。その眼はライトの灯りの中で光り、Henryは泣き叫び続けた。

GL: (縁の上を見上げながら)くそ!

JohnはGregの方を向き、顔を照らした。

JW: Greg、あれが見えるのか?

Gregは少しの間彼を見た、その表情が質問に答えていた。Sherlockはすばやい視線を警部へ向け、猛犬を見るために振り返るその顔を見た。

JW: そうか。でもGregは薬を飲んでないはずなのに、Sherlock、あれは何なんだ?何だ?!

Henryは彼らの背後で叫び続けていた、Sherlockは負担がかかり過ぎている心を統御しようと、わずかに目を回してから、また上を見上げた。 

SH: わかった!まだそこにいる…(落ち着くまで少しあえいだ)…でもただの犬だ。Henry!あれは普通の犬と変わらないんだ!

猛犬はそう思っていないらしく、頭を上げ恐ろしい声を放った。

GL: (後退りしながら)なんてこった。

ほとんど事情を知らされないままやってきているGregは、いったい何が起こっているのかまったく理解できず、ただ混乱するばかりだった。そして今や猛犬はこちらへ向いて坂を少し飛び降りた、その目はライトの中で赤く光った。

GL: うわ!

Johnは猛犬が再び止まるのを見ていた-明らかに赤く目が光っていて、他の犬では見たことがないような長く尖った歯をむき出しにして恐ろしい様子でうなっている。Henryは静かになり、それがまもなく彼を殺そうとしているのを悟ったかのように見つめていた。Sherlockはまだ自分の見るものはHenryに語ったとおりのものであると信じようとしていた。…そのとき、背後で何かが動いた気配がした。肩越しに見ると背の高い人間の姿が霧の中から見えてきた。新しくやってきた者はマスクをして透明の覆面をしていた。Sherlockは振り返って男に駆け寄ると、マスクを掴んでその顔が見えるように取り払った。…すると躁状態のようなJim Moriartyがでニヤリと笑い返した。

SH: (恐怖に狼狽してJimを見ながら)違う!

彼の背後で猛犬が不気味にうなった。Jimの表情は強烈で残忍になったが、その頭はねじ曲がり、振り回され始めた。Jimの顔は他の誰かにすばやく変化し、保っていられなくなった。Sherlockは顔を歪めながら目の前で起こっている狂気にうめく。Jimの顔が再び自己主張をする。

SH: (半狂乱で)お前じゃない!お前はここにいない!

Sherlockはその姿を掴んで、顔に頭突きをした。その姿はわずかに崩れ、立ち上がると顔に手を掲げた…今、彼の前にいる男はBob Franklandだった。SherlockはBobの上着にしがみついた、彼はパニックになり、息が乱れていた…しかし顔を別の方へ向けると、自分たちを包んでいる霧を見た。すると突然すべての意味がわかり始めた。

SH: 霧。

JW: (まだ猛犬にライトを向けながら)え?

SH: 霧だ!ドラッグは霧の中にある!煙霧質の散布-記録が語っていた。プロジェクトHOUND-それは霧だ!化学地雷原!

Gregは霧をこれ以上吸い込まないようにしようとすぐ腕を顔に当てた。猛犬はうなりながら彼らに近付いてくる。

BF: おい、いいから、殺せ!殺せ!

猛犬の動きはより過敏になり始めた、それが攻撃のために興奮していると判断してGregはピストルで狙って三回撃った。銃弾はすばやく放たれ猛犬は少しひるんだが、立ち上がって彼らの方へ飛びかかってきた。今度はJohnが弾を放つと狙いは正しく、猛犬に直接当たって後ろへ飛ばした。猛犬は痛みで悲鳴を上げると地面に崩れ動かなくなった。SherlockはHenryに駆け寄った。

SH: 見るんだ、Henry。

HK: (頑固に)いやだ、いやだいやだ!

SH: (断固として彼を前へ押しやりながら)来い、見てみろ!

彼は地面に横たわっているものがちゃんと見えるまでHenryを前に進ませた。Sherlockが照らすライトの中には、大きいが、明らかにただの犬しかいなかった。Henryはしばらくそれを見つめ、そしてまだ傷つけられた顔を抱えているFranklandの方へ振り返った。その間Gregは口に手を当てて息を吐き出し、経験したことに折り合いをつけようとしていた。HenryはFranklandを見た。

HK: あんたは…この野郎。

年老いた男に飛びかかり激怒して叫んだ。

HK: この野郎!

彼を地面に押しやると顔に向かって叫んだ。JohnとGregは走っていき、彼を引き離そうとした。

HK: 20年!意味のない僕の20年!なぜお前は僕を殺さなかった?!

やっと彼は引き離された。

SH: それは死んだ男たちから聞いていたからだ。こいつは君を殺す以上のことを求めた。君が父親について語ったことを疑っていたからだ。そして足元にはそれを実験するのにうってつけの財産があった-化学的地雷原、君はここへ戻ってくるたびに地面の板を圧迫して、薬が与えられていたんだ。

そしてSherlockは腕を大きく広げ、Hollowを回るようにゆっくりと円を描いた。

SH: 殺人兵器と犯行現場が一堂に。

大喜びで笑い出す。

SH: ああ、この事件は、Henry!ありがとう。見事だよ。

JW: Sherlock…

SH: (Johnへ向かって)え?

Johnは鋭く彼をにらんだ。

JW: タイミング。

SH: 良くなかった?

HK: いいえ、いいえ、だいじょうぶ-だいじょうぶ。いいんだ。だってつまり…

彼はFranklandの方へ進み始めた。Johnはもし彼が再び攻撃しようとしたら止められるように備えた。

HK: …つまり父さんが正しかったということですから。

Franklandは膝をついて立ち上がりかけていて、Henryはまだ彼の方へ近づこうとしていた。JohnとGregはそっと手を彼の肩に置いてそれを止めようとした。

HK: (涙ながらに)父は何かを見つけたんだろう、だからあんたは殺した-父は間違っていなかった、実験の途中であんたを見つけたんだ。

Franklandはとうとう立ち上がったが、彼が何か言う前に背後から獰猛なうなり声が聞こえた。みんながその方向を見ると犬が痛みでうめきながらも地面から立ち上がっていた。Johnは狙いをつけて二回撃ち、再び倒した。周囲の気が散る機会を得たFranklandはその隙に振り返って逃げ出した。SherlockはJohnが撃った右側へ走り抜け、ピストルを下ろさせると科学者の後を追った。Johnは振り返ってその後を追い、坂を登った。

SH: Frankland!

FranklandはSherlockとJohnの熱心な追跡を受けながら森を抜けて逃げ出した。GregとHenryは他の二人より少し後ろにいた。

SH: Frankland!

GL: (Henryへ)来るんだ、がんばれ!

彼らも走り出した。

SH: もう無駄だ、Frankland!

有刺鉄線に囲まれた地雷原に着くとFranklandは躊躇せずに飛び越えたが、脚がワイアーにもつれてしまい地面に落ちた。飛び起きて数ヤード走ったが、不意に足が地雷を踏んで鈍い音を立てたのに気付いて立ち止まった。その特徴的なカチンという音で圧力パッドを作動させてしまったことがわかったのだ。彼は足元を見つめ、ライトで下にある地雷を照らした。そして圧力をかけずにそこから完全に立ち退くことができないと悟った-地雷は爆発するだろう。後からやってきたSherlockたちが鉄線に駆け寄ると観念してため息をつき、ゆっくりと足を離した。皆が急いで屈み込むと大規模な爆発が空気を引き裂いた。突風が静まるとHenryは近くの木にもたれかかり、Sherlockは思慮深く地雷原を見つめていた。

バスカヴィルの犬 8