221B。二人は家に戻ってきて玄関へ入っていった。ずっと走っていたせいで呼吸が乱れている。Johnは上着を壁のフックに掛け、Sherlockは階段の手すりにコートを掛けた。

JW: ほんと、バカげてる。

二人はまだ息を整えようとしながら、並んで壁に寄り掛かった。

JW: 今までしてきた中でいちばんバカげたことだったよ。

SH: アフガニスタンに侵攻したっていうのに。

Johnが楽しそうに笑うとSherlockも一緒に笑い出した。

JW: それは僕のせいじゃないよ。

Sherlockはくすくす笑った。

JW: なんでレストランに戻らないんだ?

SH: (まじめな態度に戻り、拒否するように手を振りながら)ああ、奴らはきっと見張ってるだろう。何にしろ賭けてみたんだ。

JW: じゃああそこで僕らは何をしてたんだ?

Sherlockは咳払いをした。

SH: ああ、ちょっと時間を潰してた。

そしてJohnへ顔を向けた。

SH: それとあることについて確認を。

JW: あることって?

SH: 君。

するとSherlockはHudson夫人の部屋へ向かって大声で叫んだ。

SH: Hudsonさん!Doctor Watsonも部屋を借りるよ。

JW: 誰が決めた?

SH: (玄関のドアを見ながら)ドアにいる。

ドアへ顔を向けると誰かが三回ドアをノックしたので、Johnは驚いてSherlockを見た。彼はただ微笑んでいる。Johnはそれを少し見つめた後で、応対しにドアへ向かった。Sherlockは壁に寄りかかって大きく息を吐いた。Johnがドアを開けるとそこにはAngeloが立っていた。

Angelo: Sherlockからメールをもらって。

するとAngeloは笑みを浮かべてJohnの歩行用杖を差し出した。

Angelo: あなたがこれを忘れたと。

Johnは驚きながら杖を眺め、ようやく手に取った。

JW: ああ。

振り返ってSherlockの方を見ると、彼はニヤニヤしていた。

JW: (Angeloの方を向いて)ええと、ありがとう、ありがとね。

そしてドアを閉めて中へ戻るとHudson夫人が自分の部屋から二人の元へ駆け寄ってきた。夫人は動揺して泣き出しそうになっている。

MrsH: Sherlock。あなた何をしたの?

SH: Hudsonさん?

MrsH: あなたの部屋に。

Sherlockは階段を駆け上がりJohnも後に続いた。Sherlockがリビングのドアを開けて中に入るとLestrade警部が無造作にドアへ向かって肘掛け椅子に座っていた。他にも警察官たちがSherlockの領域に入り込んでいる。SherlockはLestradeに向かって怒鳴った。

SH: 何をしている?

GL: まあ、君がケースを見つけることはわかってたもんでね。俺だってバカじゃない。

SH: だからって家に無断で入るなんて。

GL: 君だって証拠を保持しておくことはできないぞ。それに無断で入ったわけじゃない。

SH: じゃあ、これはいったい何なんだ?

GL: (他の警察官たちを見回してからSherlockへ無邪気な顔をして)麻薬の手入れだよ。

JW: 本気か?こいつが、(麻薬)中毒者?! 会ったことあるのか?!

Sherlockは緊張した面持ちで唇を噛みながらJohnに歩み寄った。

SH: John…

JW: (Lestradeに)僕が断言する、一日中この部屋を調べたってな、探してるもの(※recreational)は見つからないぞ。 

(※recreational -> recreational drug 気晴らしのための麻薬)

SH: John、黙っていた方がいい、今は。

JW: ああ、でもこんな…

そこでJohnはSherlockの視線に気付いて黙った。SherlockはしばらくJohnを見つめ続け、その真剣な眼差しが彼を黙らせてしまった。

JW: だめだ。

SH: 何が?

JW: 君が?

SH: (怒って)黙ってろ!

SherlockはまたLestradeの方へ向き直った。

SH: 僕はあんたの犬(sniffer dog)じゃない。 (※sniffer dog -> (麻薬などを)嗅いで調べる犬)

GL: 違うね、Andrersonが俺の犬(sniffer dog)だ。

Lestradeは顎でキッチンの方を示した。

SH: 何、An…

閉められていたキッチンのドアがスライドして中の様子が明らかになると、そこにはさらに数人の警察官たちがいて捜索を行なっていた。Andersonはリビングの方を向き、皮肉を込めて挨拶するように手を掲げた。

SH: (腹を立てて)Anderson、麻薬の手入れでお前が何をしてる?

Anderson: (悪意に満ちた様子で)ああ、ボランティアでね。

Sherlockは顔を背けて怒りながら唇を噛んだ。

GL: 全員そうだ。こいつらは厳密には麻薬捜査の担当じゃないが、やる気は大いにある。

Donovanがキッチンから姿を現した。手には何か白くて丸いものが入った小さなガラス瓶を持っている。

SD: これ人間の目玉?

SH: 元に戻せ!

SD: 電子レンジの中にあったのよ!

SH: 実験なんだ。

GL: 捜査を続けてくれ、みんな。

そう言うと警部は立ち上がってSherlockの方を向いた。

GL: それか君がちゃんと力を貸してくれるなら、こいつらを引き上げようじゃないか。

SH: (怒って部屋を歩き回りながら)こんな子供じみたこと。

GL: まあ、子供を相手してるからな。Sherlock、これは俺たちの事件だろ。君を引き入れたのは俺だが、自分だけのものにしてもらっちゃ困る。わかるな?

SH: (立ち止まり警部へ顔をしかめて)ああ、何だ、そうか、そうか、そういうわけで嘘の麻薬手入れを仕掛けて僕に嫌がらせを?

GL: 何か見つかったら嘘ではなくなるけどな。

SH: (大声でわめいて)僕は潔癖だ!

GL: 部屋のことか?すべてにおいて?

SH: 煙草すら吸わない。

するとSherlockは左腕のシャツのボタンを外して袖をまくり上げ、腕に貼っているニコチン・パッチを見せた。

GL: 俺だってそうさ。

警部も右腕のシャツをまくり上げて同じようにパッチを見せた。Sherlockは目を回して顔を背け、二人は袖を元に戻した。

GL: さあ、一緒に仕事をしよう。Rachelを見つけたぞ。

SH: (警部の方へ振り返って)誰なんだ?

GL: Jennifer Wilsonのたったひとりの娘。

SH: (眉をひそめて)娘?なぜ娘の名前を書いたんだろう?なぜ?

Anderson: そんなの気にするな。ケースを見つけたんだから。

そう言ってAndersonはリビングに置いてあるピンク色のスーツケースを指差した。

Anderson: 誰かさんによると、殺人犯はケースを持ってるんだよな、そんで俺達はお気に入りのサイコパスのおかげでそいつを見つけることができたってわけだ。

SH: (軽蔑しながら)僕はサイコパスじゃない、Anderson。高機能なソシオパスなんだ。ちゃんと調べとけ。(※)

SherlockはLestradeの方を向いた。

SH: Rachelを連れてくるんだな。話を訊くんだ。僕も訊きたいことがある。

GL: その子は亡くなってる。

SH: すばらしい!

それを聞いてJohnは驚いた。

SH: (Lestradeに)どうやって、いつ、そしてなぜ?何か関連はあるのか?そうに違いない。

GL: うーん、そうかな、死んでから14年も経ってる。厳密には生きてさえいなかった。RachelはJennifer Wilsonが死産した子供だったんだ、14年前に。

Johnは悲しそうな表情を浮かべて顔を背けた。一方Sherlockはただ混乱していた。

SH: いや、そんな…そんなわけがない。どうやって…どうして彼女はあんなことを?どうして?

Anderson: 女が最後の瞬間になぜ娘のことを想ったか?(!) そう-サイコパスが今俺の目の前にいる。

SH: (憤慨した表情でAndersonの方を向いて)彼女は娘のことなんて考えてなかった。名前を爪で床に刻んだ。死にかかってるときに。苦労して。苦痛をこらえて。

Sherlockはまた歩き回って部屋の中へと向かった。

JW: 被害者はみんな自分で毒物を摂取したって言ってたよな、犯人がそう仕向けたと。でももしかしたら…わかんないけど、話をして?何とかして娘の死のことを引き合いにしたのかも。

SH: (立ち止まってJohnの方を向いて)ああ、でも何年も前のことだろ。なぜ未だに動揺する?

今度はJohnが言葉を失って彼を見つめた。Sherlockは口ごもった-その場にいる全員が作業を止めて静まり返っているのに気付いたからだ。彼は部屋を見渡して、気まずそうにJohnを見た。

SH: まずかった?

JW: (同じように他の人々を見渡してからSherlockへ顔を向けて)ちょっとまずかった、かな。

SH: ああ、でも君がもし死にかけていて…もし殺されそうになっていたら、その最後の瞬間に何て言う?

JW: 「お願いです、神様助けてください」

SH: (怒りだして)もう、ちゃんと想像しろよ!

JW: その必要はない。

Johnの顔に苦しみが現れているのにSherlockも気付いたようだった。わずかの間それを見つめて、申し訳なさそうに瞬きをしながら顔を背けた。

SH: うん、でももし賢い人間だったら、ほんとうに賢い…Jennifer Wilsonは複数の愛人と関係してた、賢かったんだ。

そしてまた話を続けながら部屋を歩き回り始めた。

SH: 僕らに何か伝えようとしていたんだ。

リビングの入り口にHudson夫人がやってきて彼に声を掛けた。

MrsH: ドアベル壊れてるの?タクシーが来たわよ、Sherlock。

SH: タクシーなんか呼んでない。あっちへ行っててくれ。

彼はまた歩き回り続け、Hudson夫人は部屋を見渡した。

MrsH: ああ、あなた。また散らかして。何を探しているの?

JW: 麻薬の手入れですよ、Hudsonさん。

MrsH: (不安そうに)でもあれは腰のためなの。ただの漢方薬よ。

Sherlockはドアに背を向けて立ち止まると大声で叫んだ。

SH: うるさい、全員、黙れ!動くな、しゃべるな、息をするな。考えてるところなんだ。Anderson、顔をあっちに向けろ。やる気が失せる。

Anderson: は?俺の顔が?!

GL: 全員静かに、じっとしてろ。Anderson、あっちを向いとけ。

Anderson: ああ、何なんですか!

GL: あっちを向け、ほら!

SH: (自らに)さあ、考えるんだ。早く!

MrsH: タクシーはどうするの?

SH: (振り返って腹立たしげに叫んで)Hudsonさん!

Hudson夫人は怒鳴り声に怯んでまた階段を駆け下りていった。Sherlockは立ち止まり、ようやく何かをひらめいてあたりを見渡した。

SH: おお。

うれしそうに微笑み出した。

SH: ああ!賢い女だ、賢いぞ、そうだ!

そして部屋を少し進んで他の者たちへ振り返った。

SH: 彼女は君たちよりも賢かったんだ、そして死んだ。わかるか、理解できるか?電話を失くしたんじゃない、失くさなかった。犯人に植え付けたんだ。

そしてまた部屋を歩き回り始めた。

SH: 車を降りるとき、彼女は自分が死に向かってることに気付いていた。電話が犯人へ導くように残していったんだ。

GL: でもどうやって?

SH: (立ち止まって警部を見て)え?どういう意味だ、どうやって、って?

Lestradeはただ肩をすくめた。

SH: Rachel!

Sherlockは誇らしげに部屋にいる者たちを見たが、全員ぽかんとしていた。

SH: わからないのか?Rachelだよ!

みんなはまだ何のことかわからないようだった。Sherlockは信じられないといった様子で笑い出した。

SH: ああ、見てみろ自分たちを。君たちはほんと間抜けだな。僕じゃなくて良かっただろう?その方が気楽だもんな。(しっかりとした口調で)Rachelは名前ではない。

JW: (同じようにしっかりとした口調で)じゃあ何なんだよ?

SH: John、スーツケースに札がある。e-mailアドレス。

Johnはスーツケースに付いている札を見ながら、記載されているアドレスを読み上げた。

JW: ええと、jenny . pink @ mephone . org . uk。

Sherlockは机に向かって座り、ノートパソコンの画面を見ていた。

SH: ああ、遅かったな。彼女はラップトップを所有していなかった、ということは電話で仕事を管理してたことになる、だからスマートフォンのはず、e-mailも使える。

SherlockはMephoneのWebサイトを見つけ出して、ユーザー名の欄にアドレスを入力した。

SH: Webサイトに彼女のアカウントのページがあるはず。ユーザー名はe-mailアドレス…

続けてパスワードの欄にも入力し始めた。

SH: さあ、もう揃ってる、パスワードは?

JW: (Sherlockの背後に歩み寄り)Rachel。

Anderson: e-mailを見ることができる。だから何だ?

SH: Anderson、大声を出すな。お前がこの界隈全体のIQを引き下げてる。ただメールを読む以外にできることがあるんだよ。スマートフォンだ、GPSが搭載されてるはずだろ、だから失くしたらオンラインで位置を調べることができる。彼女は自分を殺した男へ直接僕らを導いてくれてるんだ。

GL: 奴が手放してなければな。

JW: そんなはずはない。

Sherlockはイライラともどかしげに画面を眺めていた。

SH: さあ、さあ。早くしろ!

そこへHudson夫人が再び階段を上がって部屋の入口へやってきた。

MrsH: Sherlock、ねえ。タクシーの運転手が…

Sherlockは立ち上がると夫人の方へ歩み寄った。

SH: Hudsonさん、薬の時間じゃないだろう?

その間にJohnはSherlockが離れた椅子に座り、Webサイトの画面上に表示された時計の針が回転する様子を眺めていた。電話の位置を特定するまであと三分。SherlockはLestradeの方を向いた。

SH: 乗り物が必要だ、ヘリを用意しろ。

Hudson夫人が不安気にあたりを見渡している内に、彼女の背後でひとりの男がゆっくりと階段を上がってきた。

SH: (Lestradeへ)移動を迅速に行わなければ。この電話のバッテリーはそんなにもたない。

GL: 地図上の位置を把握できるだけだろ、名前じゃない。

SH: それが取っ掛かりなんだ!

ようやくパソコン画面に地図が表示され、電話があるとされる地点へとズームを始めた。

JW: Sherlock…

SH: (Lestradeに)単にロンドンにいる人物という条件だったものを狭めてくれる。僕らにもたらされた第一の確実な手がかりだ。

JW: Sherlock…

SH: (Johnの肩越しに画面を見るため急いで歩み寄り)何だった?さあ早く、どこだ?

地図は電話の正確な位置を指し示した。

JW: ここだよ。ベイカーストリートの221にあるって。

SH: (起き上がって)ここにあるだと?どうやって?

GL: なあ、もしかしたら君が持ってきたときケースの中にあって、どこかに落としたんじゃないのか。

SH: そんな、僕がそれに気付かなかったと?僕が?気付かなかっただと?

JW: (Lestradeに)だけど僕らは犯人にメールをして、犯人は電話をかけてきたんですよ。

Lestradeは振り返って仲間たちに呼びかけた。

GL: お前たち、我々もこの部屋のどこかにある携帯電話を探そう、被害者のものだった…

するとSherlockは彼らから背を向けて、先程Johnに問いかけた質問を思い出していた。

SH: (声)「誰なら信用する?たとえそいつを知らなかったとしても」

Hudson夫人の後ろへ、男が階段を上ってやってきた。タクシー運転手の許可証が入った革のホルダーを首から下げている。

SH: (声)「どんな奴ならどこへ行こうが気に留められない?」

-客を載せているというサインを灯した黒塗りのタクシーが雨の降る道を走っていく。

-鉄道の駅でJeffrey Patterson氏がタクシー乗り場へ歩み寄り、一台のタクシーへ向けて手を掲げている。

SH: (声)「どんな奴が人混みの真っ只中で人を拐う?」

Sherlockは思考に集中しながら部屋の中で立ち尽くしていた。

-James Phillimoreが降りしきる雨の中で背を丸めながら道を歩いていると、客のいないタクシーが背後から彼に近づいてきた。

-Beth Davenportは車の鍵がないことに気付いて絶望しながらあたりを見渡した。そこへ客のいないタクシーがやってきた。

Sherlockは振り返った-手がかりとなるすべての事柄が彼の頭の中を駆け巡っていた。

-ロンドンへ辿り着いたJennifer Wilsonがタクシーに乗り込む場面。

Sherlockはそれらを思い浮かべながら顔を上げた。踊り場でその様子を見ていたタクシー運転手はポケットからピンク色をしたスマートフォンを取り出し、画面のメール送信ボタンを押した。するとSherlockの電話がメールを受信して音を鳴らした。ジャケットから電話を取り出し、メッセージを確認する。

COME WITH ME.

[一緒に来い]

Sherlockがドアへ顔を向けると、タクシー運転手は振り返って静かに階段へ足を向けた。

JW: Sherlock、どうした?

SH: (男が去っていくのを見ながら曖昧に)え?ああ、うん、だ、だいじょうぶだ。

JW: じゃあ、電話はこの中のどこにあるんだろう?

SH: (まだ運転手を見ながら)わからん。

JW: (立ち上がって自分の電話をジーンズのポケットから取り出しながら)もう一度試してみる。

SH: それはいいね。

そしてSherlockはドアへ向かい始めた。

JW: どこ行くんだ?

SH: 空気を吸いに。ちょっと外に出てくるだけだ。すぐ戻る。

Johnは部屋を出ていくSherlockを訝しげに眺め、背後から呼びかけた。

JW: ほんとにだいじょうぶなんだろうな?

SH: (急いで階段を下りながら)だいじょうぶ。

 

※psychopath 精神病質者 / high-functioning sociopath 高機能社会病質者

…「精神病質(せいしんびょうしつ、英:Psychopathy、サイコパシー)とは、反社会的人格の一種を意味する心理学用語であり、主に異常心理学や生物学的精神医学などの分野で使わている。その精神病質者を英語でサイコパス(Psychopath)と呼ぶ」「類似する用語として、社会病質(しゃかいびょうしつ、英:ソシオパシー、Sociopathy)、社会病質者(しゃかいびょうしつしゃ、英:ソシオパス、Sociopath)がある。 行動遺伝学者デヴィッド・リッケン(David・T・Lykken)は反社会的人格をソシオパス的人格、サイコパス的人格、性格神経症の三つに大別し、 ソシオパス的人格は、親の育て方などによる後天的なもの、サイコパス的人格は元来の性格、気質などの先天的なものとして位置付けている。 しかし一般には、ソシオパスとサイコパスはほぼ同義なものとして扱われることが多い」「サイコパスは異常であるが病気(いわゆる精神病)ではなく、ほとんどの人々が通常の社会生活を営んでいる。そのため、現在では精神異常という位置づけではなく、パーソナリティ障害とされている」「サイコパスは他者に愛着を持ち辛く、良心(不安感)に乏しく、加えて攻撃的(反社会的)な人物であるとされる。 これは先天(器質)的な脳障害により、異常なほど強力な防衛機制(不安に対処する能力)が働くため、罰に対するリアリティーが乏しくなり、反社会性を示し易いということである。 ただし反社会性は後天的な要素であるため、対処の仕方によっては矯正可能と見ている。一方ソシオパスは後天的要因(反社会性)のみが濃いとされ、サイコパスと混同するのは誤りであるとしている。 サイコパスは愛着が無いかわりに特定の人物に執着せず、裏切られたとしても相手を恨んだりすることはないが、 ソシオパスは執着もすれば、恨むこともある。 例えば「ストーカー」という犯罪行為にしても、サイコパスの場合は愛着を持たない性格のため、長期間(一ヶ月等)の継続的なストーキングはありえず、1日か2日で終わるという」-Wikipedia「精神病質」より

 

「知的能力(一般的にIQで判断される)が低くない自閉症のことを高機能自閉症と呼ぶことがある。また、知的能力の優劣に関わらず、一部の分野で驚異的な能力を有する場合もあり、その驚異的な能力を有する者をサヴァン症候群と呼ぶ。なお、「高機能自閉症」と「アスペルガー症候群」、「低機能自閉症」と「カナー症候群」は基本的には類似しており、臨床的には区別がつきにくい場合が多い(DSM-IV、ICD-10では言語障害がないものをアスペルガー症候群、言語障害があるものを自閉性障害、小児自閉症(カナー症候群)と分類する)」「自閉症スペクトラムのうち、知的障害がないもの(一般的にはIQ70以上とされるが、ボーダーとされるIQ70~85を除いた、IQ85以上とする場合もある)を高機能自閉症(知的遅れのないカナータイプ)(英: High functioning Autism、略称は、HAまたはHFA)と呼ぶことがある。「高機能」というのは知能指数が高いという意味であるが、平均的な健常者より高いとは限らず、知的障害との境界域の場合もあれば、一部平均的な健常者をはるかに上回る場合もある。1980年代以降、急速に認知されてきた。また定義的には高機能自閉症に当てはまるが自覚がない人も多く、無自覚な高機能自閉症対象者には個人の生まれ持った性格と認識されることも多い」-Wikipedia「自閉症」より

 

「サヴァン症候群の原因は諸説があり、特定には至っていない。実際、症例により、各々メカニズムがことなり、同じ症例は二つとないという考えもある。脳の器質因にその原因を求める論が有力だが、自閉性障害のある者が持つ特異な認知をその原因に求める説もある。コミュニケーション障害・自閉性障害のある者の全てがこのような能力を持っているわけではない。自閉症と同様、男女比は男性が女性の数倍である。広義には、障害にもかかわらずある分野で他の分野より優れた(健常者と比較して並外れているわけではない)能力を持つ人も含めることもある。また、いわゆる天才や偉人の多くは円満な人格者ではなく、中には日常生活に支障が出るほどの変人、時にコミュニケーション障害・自閉性障害に近いほどの変人もおり、それがさらに極端になって「紙一重」を超えてしまったのがサヴァン症候群だという見方もある」-Wikipedia「サヴァン症候群」より

 

ここでSherlockが『精神病質者じゃない、高機能社会病質者だ』と言っているのは、『(他人に愛着を感じることの出来ない)精神病(あるいは障害者)ではなく、他の人よりも知能が高いので社会に適合しにくい(他人に理解してもらえない、他人を見下してしまう)だけだ』と言っているようにもとれる。

また、原作のSherlock Holmesについても、彼はアスペルガー症候群だったのではないかと考えている研究者がいる。 

ピンク色の研究 8